私の職場はまだ完全週休二日ではないのですが、夏期休暇だけは比較的長めです。その休みを利用して、数年前から帰省のついでにふるさとやその近くの会いたい人、行きたい土地を訪ねるようになりました。それが結果的に「定点観測」のようになり、農村の微妙な変化を感じることができるようになって、『定年帰農』や『若者はなぜ、農山村に向かうのか』のような「増刊現代農業」の企画に結びついてきました。
とはいえ、帰省で一番楽しみなのが、小学校5年から生後3ヶ月まで5人のめい・おいの顔をみることです。私の実家は宮崎県の高千穂町という山村で、めい・おいはみんな都市部にいるのですが、お盆と正月はじいちゃん、ばあちゃんに会いに来ます。今回の帰省でも、私が家についた14日の夜にはもうみんな花火に夢中でした。

いちばん年長は小学5年の「ももこ」なのですが、今回の帰省で、彼女が友だちと「農業会社」を立ち上げていることを知りました。それも二つあって学校農園でやっているのが「パート1」、男の子の友だちの家で庭の芝生を半分剥がし、畑にしたのが「パート2」。ミニトマトやキュウリ、ラッカセイなどをつくって給食の時間などに食べているのだそうですが、ももこはパート1では「副社長」なのに、パート2では「パート」なのだそうです。理由を聞くと「学校では時間が自由になるけど、放課後は塾やピアノであんまり畑に行けないから」とか。
ももこが住んでいるのは宮崎市郊外の新興住宅地で、地域に畑や田んぼはほとんどありません。そんなところで、子どもたちが突然「農業会社」を立ち上げたなんて、「帰農」の波は小学生にまで及んでしまったかと思いました。
