2006年04月26日

イタリア・ウンブリア 朝田今日子 3日目

BTH2510977_4B.jpgユーロ紙幣に変わってから、イタリアの物価は上昇する一方です。一部の国民を除いてはかなり苦しい状況が続き、私などなるべくスーパーに入らないように 心がけています。そうでもしないと、「そうそう、あれも必要だった、これも買っとかなきゃ」といってレジに着く頃にはカートが山盛りになってびっくり。

1週間に1回、チーズ類や水、パスタ、コメ、小麦粉、砂糖、果物など最小限必要なものを買っても、あっという間に50ユーロ(約7千円)を超えてしまう ので、大げさではなくリラの頃の倍の値段になっています。

こんなご時世だと、畑で採れる旬の野菜や家の周りの野に生える野草、林の中のアスパラガスやキノコ、夏に畑で採れた大量のトマトの瓶詰めやオリーブの ペーストなど、保存食も大変役に立っています。

それから肉類は、農家で年に一度安く購入する肉があるからやっていけるようなものです。もし都会で暮ら し、食品はすべて購入するものだったらどうなっていただろう。豚や子牛の肉は一頭絞めるわけだから、好きな部位だけ選んであとは知らない、という訳には いきません。豚一頭は他の家族と半分ずつ、子牛は一頭を8家族と分けるので、「私はフィレ肉とロースがあればいいわ」、なんて口が裂けても言えません。

今まで知らなかった部位もあって最初はどうやって料理したらよいか困ったこともありました。それらの肉を小分けにして倉庫にある大きな冷凍庫に入れ、使 う分だけ解凍して料理します。

豚の骨はよいダシがでるので、よく鶏ガラやモミジでとったスープと一緒に中華料理に使います。このスープがあるから中華そばの麺をうってラーメンの代 わりにすることもあるし、材料によって工夫していろいろな料理を生み出さなければなりません。 まさに昨日ヨアンナが話していた、彼女のお母さんの話と 同じです。
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posted by LJ21 at 23:25| Comment(0) | TrackBack(0) | イタリア・ウンブリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

イタリア ウンブリアから 朝田今日子 2日目

先日、自称”料理マニア”のヨアンナと知り合いました。彼女は友人のお兄さんの奥さんで、母親がサルデーニャ出身、父親がオーストラリア人で、ミラノに住んでいます。ヨアンナと料理の話をしていたら、イタリアでも代々伝わる郷土料理を作る人がどんどんいなくなっているという話になりました。イタリアの若い女性で手打ちパスタができる人、フルコースを作れる人は20%に満たないといいます。
 ヨアンナのお母さんは50年前にオーストラリアに移民として渡り、ミラノに移るまでの10年間サルデーニャ料理を作り続けたそうで、その意志の強さは見上げたものです。現在80歳のお母さんは、ミラノにいながらもやはり昔ながらのサルデーニャ料理を作っているそう。

 「オリーブオイルのおいしい生活」という本を12月に出してから、「なぜ日本人の著者がイタリアの郷土料理の伝統を受け継いでいくのか疑問だ」という感想を頂きました。なぜそうなのかと言えば、ひとつは息子がいるからというのがあるでしょう。父親はイタリア人だし、子供がその土地の人間と関わって生活していくのだから、その人たちと同じ土地の食べ物を教えたいと思うのは当然のことのような気がします。もちろん、和食だって作ります。日本に帰国したらどんなに重くても、米、しょう油、麹、かつおぶしに昆布とまるで移民のように大荷物を持ってイタリアに帰ります。この間は土鍋も持って帰り、割れないようにと気苦労も多い旅でした。ダシだってインスタントには頼らないし、味噌も豆腐も自分で作ります。
 
 もう一つは、昔ながらの文化が消えてしまうのはイタリアであろうと日本であろうと私の中で危険信号が灯るのです。動物的な勘かもしれません。ヨアンナのお母さんが作る、サルデーニャの一部の小さな村でしか作られていない貴重な料理を、80歳になったお母さんを見て「この人がいなくなったら、これらの料理は食べられない」とヨアンナが危機感を持ったのも心の底からよくわかります。

 昔の人が作って食べてきた料理というのは生活に基づいたもので、「あるものを無駄なく使う」というものが基本です。「ないものはない」から補うための保存食を充実させていったわけです。日本で暮らしていた頃、生ハムと言えばホテルのレストランで食べる水っぽいメロンといつ切ったかわからない乾ききった一切れの生ハムというものでした。ローマに住んでいる時も、量が増えて新鮮になったとはいえ、やはり生ハムは前菜にでてくるかパンに挟んである一品でしかたなかったのです。それが田舎に暮らして生ハムを一本作り上げると、家に一本生ハムがあるというのがどういうことかようやくわかりました。削りカスや脂身など今までお店で買った時になかったものがでてきて、こういう部分は豆料理やトマトソース、煮込み料理など様々な料理の抜群の調味料やアクセントになることがわかりました。料理って、そうやってできていくものだと知ったのです。

 そういう料理をもっと大切に残していきたいということで、ヨアンナと意見が一致してとてもうれしくなりました。

写真:ヨアンナと娘のアンニック。ヨアンナ手作りのパナーテ(豚肉、空豆、アーティチョーク、オリーブの実、乾燥トマト、イタリアンパセリ、の詰め物入りパイ)
 










posted by LJ21 at 03:51| Comment(0) | TrackBack(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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