2006年04月27日

イタリア ウンブリアから 朝田今日子 3日目

ユーロ紙幣に変わってから、イタリアの物価は上昇する一方です。一部の国民を除いてはかなり苦しい状況が続き、私などなるべくスーパーに入らないように 心がけています。そうでもしないと、「そうそう、あれも必要だった、これも買っとかなきゃ」といってレジに着く頃にはカートが山盛りになってびっくり。

1週間に1回、チーズ類や水、パスタ、コメ、小麦粉、砂糖、果物など最小限必要なものを買っても、あっという間に50ユーロ(約7千円)を超えてしまう ので、大げさではなくリラの頃の倍の値段になっています。


こんなご時世だと、畑で採れる旬の野菜や家の周りの野に生える野草、林の中のアスパラガスやキノコ、夏に畑で採れた大量のトマトの瓶詰めやオリーブの ペーストなど、保存食も大変役に立っています。

それから肉類は、農家で年に一度安く購入する肉があるからやっていけるようなものです。もし都会で暮ら し、食品はすべて購入するものだったらどうなっていただろう。豚や子牛の肉は一頭絞めるわけだから、好きな部位だけ選んであとは知らない、という訳には いきません。豚一頭は他の家族と半分ずつ、子牛は一頭を8家族と分けるので、「私はフィレ肉とロースがあればいいわ」、なんて口が裂けても言えません。
今まで知らなかった部位もあって最初はどうやって料理したらよいか困ったこともありました。それらの肉を小分けにして倉庫にある大きな冷凍庫に入れ、使 う分だけ解凍して料理します。


豚の骨はよいダシがでるので、よく鶏ガラやモミジでとったスープと一緒に中華料理に使います。このスープがあるから中華そばの麺をうってラーメンの代 わりにすることもあるし、材料によって工夫していろいろな料理を生み出さなければなりません。 まさに昨日ヨアンナが話していた、彼女のお母さんの話と 同じです。



ヨアンナが子供の頃、お母さんは子羊の腸を何度も水で洗ってきれいにし、その腸をさらにワインビネガーで洗って匂いを消し、そのあとようやくきれいに なった腸の中に子羊の内臓を詰めてソーセージを作っていたそう。ソーセージは乾かし、スープのダシに使っていたのです。ヨアンナはそれを「お世辞にもお いしいとは言えなかったわ。でも苦労して作っているお母さんの手前、子供とはいえ残すわけにはいかないと思い、必死で水と一緒に流し込んでいたんだか ら」といいます。おいしくないのだけれど、お母さんにとっては一頭絞めた子羊を無駄にはできないという思いがあったのだと思う。「それにそうやって苦労 してできたありがたいソーセージは、お母さんにとってはきっとおいしいものだったに違いない」とも。



隣近所の農家の人達も、ニワトリを絞めたらその足をトマトソースで煮込んで食べていたことを思い出します。貧しい暮らしから生まれる食生活の知恵は、 見習おうと思うことがたくさんあります。食べ物に対する姿勢から、料理のアイデアまで。今日は豚の骨と、たくさん作って冷凍してある生ソーセージを使っ て、トマトソースを作りました。脂が多いので古くなったワインで1時間ほど煮て脂抜きをしてからトマトソースで煮込みます。このソース、骨からでるエキ スでトマトがすごくおいしいんですよ。

写真:生ソーセージ(サルシッチャ)とリブのトマトソース





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イタリア・ウンブリア 朝田今日子 5日目

今日はでははちみつの話をします。私がイタリアで最初に食べたはちみつは栗の花のはちみつでした。それまではちみつに花の種類があるなんて知らなかったので新鮮でした。

BTH2515787_0B.jpg 栗の花はくせがあって苦手な方も多いですが、香ばしい味がすっかり気に入ってローマの店をあちこち周り、いろんな養蜂家のを試してみました。ローマの裁判所の裏にははちみつ専門店などもあったし、自然食品店もたくさんまわって見つけたのが、カルロ・ピエトランジェリさんという養蜂家の作っているはちみつでした。彼のつくる栗の花のはちみつは、他と違ってエグミが少なく、透き通った味がします。それでいて香りも高く、他の花の種類のはちみつもすべて試してみました。イタリアはチーズもそうだけれど、花の種類によってそれぞれ味がバーンと個性的で、似通っていないのも特徴のひとつです。

 その後、ウンブリア州に移ってオリーブオイルの店を東京・阿佐ヶ谷に開いた時に、カルロさんのハチミツもぜひ売りたいと思い、彼の夏の家があるアペニー山脈の麓まで会いに行きました。カルロさんはイタリア国内をトラックでミツバチと移動しながらハチミツを集めています。このアペニー山脈の麓ではタンポポの花のはちみつを作っていたので、見学させて頂きました。蜜蝋を出してきて蜜蝋をナイフでサッサと取り除き(その手さばきのよさに見とれてしまう)、さらに遠心分離機にかけてハチミツが採れるのを見ました。

 カルロさんの奥さんがアブルッツォ州の名物料理、アマトリチャーナ(トマトとベーコンのパスタ)を作ってお昼をごちそうしてくださって、子供時代の話などを伺いました(*この話は夫ピエルサンティがブオーノイタリアのHPに載せています)。

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