黒石では昔から食べられていた味らしいのですが、ここ1〜2年で市外に広く知られるようになり、新たに「つゆ焼きそば」を作り始める店が増え、黒石商工会議所は「このチャンスを逃すな!」とばかりに「やきそばのまち黒石」という焼きそばマップを作って……と、何やらずいぶんと焼きそばでにぎわっています。
ウワサを聞いていたので、5月に青森に帰省した折、両親と一緒に黒石まで足を延ばし、食べてみました。黒石は一方通行の細い路地が多く、さんざん迷ったあげく、弘南鉄道の黒石駅近くにある小さなお店「味のこづち」をセレクト。

つるっ。「あれ?」つるつるっ。「お?」つつつつつるっ。「おおお!」
……てな感じで、つまりウマかったのです。この店では、ラーメンスープを投入しているとのことで、あっさりスープにソースのうまみがしっかり残り、かすかな酸味がさわやかさを添えていて、喉ごしもいい。これで焼きそば(スープ、漬け物付き)450円、つゆ焼きそば550円というリーズナブルなお値段。
焼きそばマップによると、黒石では戦後、市内の製麺所で作られた中華麺を使い、各店が独自の茹で方や蒸し方で焼きそばを作り始めたといい、ソースが絡みやすい太くて平らなコシのある麺が特徴。昭和30年頃は、駄菓子やでも10円単位で売られ、新聞紙を切って作った三角の小さな袋に入れられた焼きそばを、子どもたちはおやつに食べていたとか。昭和30年代後半に、焼きそばにつゆをかけた「つゆそば」が生まれ、最近になって、当時を懐かしむ声を反映して、再びブームになったとのこと。
マップには黒石市近郊を含めて約60軒が紹介されているが、店によっては麺を蒸したり、そばやうどんのつゆを使ったり、味のバリエーションは様々あるらしい。ちなみに8月には、ローソンが「黒石風つゆ焼きそば」を東北6県+新潟県の店舗で、「横手風焼きそば」「新潟風イタリアン焼きそば」とともにご当地焼きそばとして売り出していた模様。
さらに9月上旬には、黒石で「やきそばサミットin黒石」が開かれ、市内のほか、静岡や秋田、群馬のお店も軒を並べたところ、2日間で3万人超が来場、8600食を販売して、たいそう盛り上がったそうな。
黒石には、紅葉が綺麗な「中野もみじ山」や、「ランプの宿」として知られる青荷温泉、100万円の純金こけしなどを展示している伝承工芸館などがあり、見所も満載。ぜひ、足を運び、「つゆ焼きそば」を試してみてください。