2004年07月11日

熊本県水俣市袋 遠藤邦夫さん 六日目

7月10日土曜日 晴れ
 私は休日に昼寝をするのが大好きなのです。「寝るより楽はなかりけり」とは親父のセリフだけど、子どもの頃は寝るのがあまり好きではなかった。だって寝ている間は遊べないし、死んでるようなものだから。大人になってみると寝ることは確かに一つの快楽だと悟った。
 夜、能不知火の運営委員会があった。いよいよ8月28日の本番に向かって、各部門の報告、座席券のこと、冊子の進行状況、さまざまな作業のこと。中でも最大の決定は、能が始まったら入場はお断りするってことだろう。雨の場合の文化会館のこと、晴れの場合の親水護岸のこと、座席の区分のこと、一方でサービスに差異が生じないようにしながらも、開演時間で閉鎖は譲れないとなった。緒方正人曰く「不知火が演じられる場は結界の中なので、始まったら入れないのが当然だ」「いかなる理由があろうとも始まったあとには入れない。例外はない」「たとえ石牟礼道子でも入れない!」一同大笑い。交通渋滞、子どもの不調、パンクした、交通違反、券を忘れて取りに帰っていた等々、「その場所、その時間に立ち会うとは、それほどの緊張感を求められているのだ」と。能不知火に来られる方はくれぐれも時間厳守していください。
写真は能不知火のWS後の懇談会。正面の三人ならんだ右端が緒方正人さん。

 最後の日記なので、私が勤めている(財)水俣病センター相思社について少々宣伝をします。相思社は1974年に設立されたました。最初の構想では主に一次訴訟(水俣病については相思社ホームページを参照 http://www.soshisha.org)の患者たちの憩いの場や共同作業の場としてあったのですが、実際には未認定患者運動の基地としての活動がメインとなります。
 1989年に相思社の主なる事業収入の甘夏販売における不正が、甘夏事件として問題となり、それまでの運動体としての相思社は小さくなり、「水俣病を伝える」活動に重点が置かれるようになります。不正販売としての甘夏事件についてはここでは述べませんが、私は甘夏事件が起きた最大の理由は、水俣病患者と支援者のいびつな関係にあると考えております。当時の甘夏販売の手数料は1kgあたり10円でした。これは当時としてもも破格で、相思社は何度も値上げを生産者=患者に訴えました。ところが生産者の中のには「なんで支援者が患者からお金を取ろうとするのか?」と言う人がいて、それに対してキチンと説明できませんでした。甘夏販売は純然たる商行為でしたが、相思社自身が水俣病患者の存在を販売に使っていたので、この理不尽な論理を批判できませんでした。支援者と患者はお互いにもたれ合う関係でしかなかったのです。
 これを適正な関係に取り戻そうとしたのが、検討委員会答申でした。そもそも支援者という立場は、1969年に一次訴訟が始まったときに熊本告発が打ち出した「義により助太刀いたす」という義勇兵=ボランティアの姿勢でした。しかし、時代が変わり、運動が推移し、それぞれの生活が変わり、社会的立場も変わったにもかかわらず、患者−支援者関係が不変であったことこそ、運動的に言えば退廃というほかありません。今や患者−支援者という関係で水俣病事件に関わろうとすることは、己の立場を何も考えていないと思います。そしてその時に見えている水俣病がいかなるものであるのか、形而上化された架空のものではないでしょうか?
 何か最後は演説になってしまいましたが、私は闘争としての水俣病事件一幕は終わり、関わっている人々それぞれがどの様な問題として水俣病事件をとらえ、どの様に表現してくのかが問われているのだと思っています。その意味で「水俣病が終わっていない」というだけでは全く不十分で、何が終わっていないのか、どうすれば終わるのか、終わりがないとはどういう意味なのか等々の議論をすることが必要です。
 運動系の人たちは「終わらない」がスタンスになると信じているのでしょうが、それは時代からすればマニアックなスタンスの墨守でしかありません。いかんどうもヒトを批判して自身のスタンスにするのが直っていない! 私は「暮らしの中の水俣病」というテーマ立てから、住民自治の形成をどうするのかを最近の課題としています。詳しくは機関誌ごんずいをお読み下さい。
 ではまた。





posted by LJ21 at 09:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 熊本県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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