2004年07月13日

京都府京都市 濱崎加奈子 2日目

京都市内もその昔は路面電車が走っていたそうですが、リスボンの町には、いまでも堂々と路面電車が走っています。京都では、今や公共の乗物と言えば、バスと東西に走る地下鉄ですが、バスは定刻に乗れた試しがありませんし(つまり、いつも遅れている)、地下鉄も、多くの文化財が眠る京の地面を掘り返しては、町家の井戸水を涸らしていて、決して手放しに喜ばしい存在と言うわけではありません。
 リスボンの路面電車は、とてつもなく非効率的で、車両も小さければ、ポイント切替も手動。交叉路で運転手さんが降りてはガッチャンとレバーを切替えます。その間に、九官鳥を肩にのせたお姉さんや犬を連れたアコーディオン少年が横切ったりします。電車の本数は多く、いつも満員でにぎやか。観光客が主かと思えばそうでもないようです。急勾配の斜面をガタガタと登るケーブルカーもあって、乗れば5分の距離ですが、買物袋にタマネギをいっぱい詰め込んだ老婦人や、ステッキを携えた黒帽子の紳士が、駅員に定期パスを見せて乗り込んできます。ケーブルカーもまた、地元の足なのでした。


ところが、リスボンが前近代的な古い町かと思えば、それだけではありません。近代的なビル群もあれば、オフィス街もあります。ヨーロッパ一といわれる巨大ショッピングセンターもあります。でも、古い町並の中いる限り、ビル群はまったく視界にはいらないのです。ビルという存在を忘れ、中世そのままの世界に迷いこんだような、そんな錯角をおこさせてしまいます。それぞれの街が見事に区分けされ、景観が保存されているのでした。
 町を歩いて印象的だったのが、市場の2階。古本売場と小さなイベントペースがあり、吹抜けロビー壁面には、市場の歴史たる、古い時代の物売の男たち・女たちの絵や写真が掲げられていました。市場自身は、東京の築地のような威勢のよさはありませんが、歴史を大切にし、誇りをもって、静かに、確かな歩みで歴史を刻もうとしているように思えました。


こんな町の一角に、つい最近まで宮殿だったというホテルがあります。未だかつてない盛り上がりを見せたユーロサッカー2004決勝戦の前々夜、このホテルので、レセプションが行われました。その会場の一隅の「庭」が、私たちの茶会の舞台でした。


昨日に引き続き、「寄せ集め」の道具立てをご披露いたしましょう。
 風が強くて、茶杓も蓋も何もかも吹っ飛んでしまうこと、また、お客様のリクエストにより、変則的な点前を強いられておりますが、ご寛容のほどを。パリとは違い、「何でも揃う町」というわけではない為、道具集めには苦労いたしました。風炉は、パリのような見立てではなく、できる限り「日本的情緒」を演出するという指示のもと、オーソドックスさを求め、普通の風炉釜をさがしました。ポルトガルに風炉釜が3つあるという情報を得、そのうちの1つをお借りすることに。花入は、よく見えないかもしれませんが、ようよう見つけた竹の蝋燭立をひっくり返して使いました。オーソドックス…とつぶやきつつ、サッカー準決勝を観戦し、少々興奮気味だった私たちは、ホームセンターで仕入れた長板に、ユーロ参加国の旗を描いてしまいました。
 そうそう、「茶室」は、日本好きのドイツ人がどこからか竹を仕入れて来て、組み立ててくださいました。かねて指示していたものとはかなり違ってましたが、結果、面白いものになったのでは。壁面をなしている白布は、透明感をもたせることで、白昼シルエット効果を狙ったのですが、単なる白布でがっかり。でも、強い風が白布を翻らせ、大航海時代の帆船を想像させ、茶室が船になった!と楽しい気分を味わうことができました。


最初は遠巻きに見ていたお客様たちも、次第に茶室の廻りをウロウロ。覗いては去り、また覗きにやってくるという有り様でしたが…日が暮れるにつれ、茶室の周囲を人々が取り囲むようになり、150名あまりの方々が、ワインを片手に生菓子を食べ、薄茶を飲んでくださいました。パーティーもおひらきになる頃には固定のフアン(!)ができていて、点前座に座り込んで動かない人や、友人を次々に連れて来てくださる方もいらしゃって、はるばる来てよかったと思いました。
 パリではお茶が流行っているそうですが、まだまだポルトガルでは「異国文化」のようです。抹茶を見るのも初めてという方がほとんどでした。
 日本の茶道は、南蛮文化の大きな影響を受けています。食べ物全般の嗜好も非常によく似ていると思います。市場では、さんまやいわし、太刀魚など、日本の魚屋さんと少しも変わらない品揃えに驚かされます。お菓子の種類も豊富で、パリや香港などを除けば、美しい形に仕上げたり、繊細な味の変化を楽しんだりするところなど、他の国々にはあまり見られないのではないかと思われます。
 でも、日本がポルトガルの影響を受けていること、よく似ている面をもっていることを、ポルトガルの方々はあまりご存知ないように思いました。
 何だか、外国旅行記になってしまいました。明日は京都に戻ろうと思います。




posted by LJ21 at 03:22| Comment(2) | TrackBack(0) | 京都府 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。ポルトガルまでは未だ行った事のない私です。リスボンの字に魅かれ訪問させて戴きましたが、おもわず和服姿の女性に見とれてしまいました。まるで雅子様のような美人さんでございますね。この方が作者の濱崎加奈子様なんでしょうか?済みませぬ、下らぬ質問で。<BR>しかし、このBLOGの形態は初めてですね。多数の方の連作となるのですか?
Posted by belage at 2004年07月14日 06:29
ご訪問、ありがとうございます。<BR>残念ながら和服姿の女性は加奈子さんではありません。加奈子さんはもっと美人なんです。<BR><BR>このBLOGは1週間ごとに担当が替わる日記なんです。みなさん、日本各地で生活(くらし)を楽しんでいる方たちです。私たちのホームページのほかのページもぜひ、お立ち寄りください。<BR>http://www28.cds.ne.jp/~localj/<BR>ローカル・ジャンクション21で検索していただいても出てきます。<BR><BR>LJ21事務局 朝田より
Posted by LJ21事務局 at 2004年07月14日 22:26
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