2004年07月16日

京都府京都市 濱崎加奈子 5日目

いよいよ宵山を迎えた今日、四条界隈には屋台が立ち並び、どの通りも浴衣の人であふれていました。ここ数年、浴衣を着る人が増えたのは嬉しいことだと思っています。10代20代の女性の浴衣柄も麻の葉や縞などの古典柄がほとんどで、色も涼やかなものが多いように思います。それに加え、今年目立ったのは、男性の浴衣姿です。去年までは甚平姿がだったのに、今年は浴衣をちゃんと着ているのには驚きました。帯の結び方もさまざまに工夫されていて、なかなかに楽しめます。
 写真は、これから人が多くなるという午後6時の長刀鉾の前です。明日はいよいよ、鉾が動きます。それを、じっと待っているように思えるのは私だけでしょうか。
 十数年前、初めてこの長刀鉾が動いたの見た時のことを思い出します。じつは、「ただ動くだけじゃないの」と内心思っていたのですが、動かされた瞬間、思わず「山が動いた!」と思いました。神の棲む山の、地鳴のように感じられたのです。その存在の巨大さに、しばし見愡れてしまいました。
 通りに鉾より高い建物がなかった時代のことを思えば、さらに想像は豊かなものになります。屏風絵には、鉾の先が雲上に突き出ている様子が描かれていますが、当時の人々にとって、あの絵は「真実」だったのではないかと思えてくるのです。1100年の昔、疫病が流行った時、神泉苑に66本の鉾を立て、疫病退散を祈ったという、鉾。その神なる力は、現代にも生きているのでしょうか。



さて、祭となれば、恒例の行事がつきものです。考えてみれば、京都は年中、どこかで祭や行事が行われているように思われます。今日宵山の日は、祇園さんのお献茶の日と決まっています。祇園・八坂神社を中心に、10席あまり、釜がかけられます(決められた団体によりお茶席が催されます)。私も、祇園・万亭(一力茶屋)のお席に出かけました。
 万亭さんのお茶席は、祇園の舞妓さんがお運びをしてくださるのが楽しみのひとつです。たくさんのお客さまがいらっしゃるので、あまりゆっくりとはできないのですが、しばし優雅なひとときを過ごすしました。
 先日、パリとリスボンの茶会の様子をご披露しましたが、今日お邪魔させていただいたような席は、大寄せと言って、一席にたくさんの人たちが一緒する茶会です。しばしば、お点前も省略されます。それでも、お道具や席の雰囲気を楽しむことができます。茶会は、本来、亭主がお客様のことをよく知っていて、その方々の顔を思い浮かべながら、その方々のために道具を選び、料理を作り、菓子の意匠を考える、というのが基本だと思います。ただ、これが芸能の面白いところで、不特定多数をお客とする大寄せにも需要があり、今やむしろこのような形の方が多いのではないかと思われます。日曜日にまた違ったスタイルの茶会を予定しています。お楽しみに。



街中を歩きまわったので、町家カフェでひと休み。近年、町家を改装したレストランやカフェが急激に増えました。町家および町の景観を保存すると同時に、よりくつろげる空間でお茶をいただくことができるのは嬉しいことです。でも、町家はどうしてくつろげるのでしょうか。柱や梁の材の古さ、完全密閉空間ではないこと、そして、ほんのわずかな歪み。風が通り、ぽっかりと気の抜ける場所と時間があるのかもしれません。生活の快適さや便利さとうまくバランスをとるのは難しいかもしれませんが、古さの長所を取り入れた生活スタイルが、いま生み出されようとしているように思えます。友人の建築家は、家を町家風に改造する仕事を手がけました。見かけだけではなく、住み心地の良さを考え、あえて町家風に改築したそうです。面白い考え方だと思います。どうか、町家カフェが一過性の流行に終わりませんように。もっともっと進化した形が生まれていきますように。



さて、宵山の夜もまた恒例の行事があります。祇園祭の山鉾の中で、ただひとつ、鴨川を渡ることを許された鉾があります。それは、長刀鉾です。宵山の夜、長刀鉾町の囃子方だけが鴨川を渡り、八坂神社でお囃子をお納めします。これが、深夜0時頃。それから、祇園町を練り歩きます。一般の方々にあまり知られていない、長刀鉾の町衆だけのお祭です。
 ひとつのお祭にも、さまざまなコミュニティが幾層にも複雑に折り重なっているのだなとつくづく感じさせられます。




posted by LJ21 at 04:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 京都府 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。