2004年07月18日

京都府京都市 7日目 濱崎加奈子

祇園祭は昨夜クライマックスを迎え、後は疫神祭やあとの祭等を残すのみとなりました。京都では、祭の日に鯖寿司をたべるのを習慣としていますが、この鯖を古く日本海の小浜より京の都へと運んだ道は「鯖街道」と呼ばれています。三千院や寂光院で有名な大原の奥、この鯖街道(旧道)を北へ車で数分はいったところにもまた、私たちがしばしば集う場所があります。小浜から鯖を運んできて、都まであとひとふんばりと、最後に足をとめ、しばし旅の疲れをいやした場所。阿弥陀寺という寺のふもと近く、寂光院の裏山にあたります。ここは、茶室のある庵になっていて、しばしば、遠方からのお客様をお招きし、お茶のおもてなしをさせていただいております。
 今日も、京都の知人2名が東京のお客様2名をご案内する形で、茶会が行われました。


茶会といえば、ちょっと身構えられることが多いのですが、お茶をいただきながら親交を深める場と考えてよいと思っております。数百年の歴史ある芸道ですので、形式や決まりももちろん沢山あり、奥深く、それを追求するのはとても面白いことだと思います。でも、私たちは、とにかくお客様がどのようにすれば一番くつろいでいただけるかを考え、できる限りフレキシブルに対応させていただいているつもりです。今日のお客様も、あまりお茶に親しんでいない方々のため、茶室にいる時間をなるべく短く、ポイントだけに絞って構成してみました。
 通常の茶会ならば、茶室にはいり、ごはんに汁、向付(酒肴)、煮物碗(メインディッシュ)、八寸(酒肴)、時に焼物などもあって、その間に酒のやりとりがあったりして、その後、主菓子(生菓子)をいただき、いちど席を立って外に出ます(路地にしつらえられた腰掛待合で席が改められるのをしばし待ちます)。その後、再度お席にはいり、濃茶をいただき、干菓子に薄茶をいただきます。この間、4時間程度の時間を要するのです。ここまですれば、とても充実したお茶の時間を過ごすことになるのですが、初めての方々にとっては、ちょっと大変です。そのため、私たちは、しばしば、これらの過程のいくつかを省き、簡略バージョンで臨みます。今日は、汁、向付、八寸と酒のやりとり、主菓子と濃茶、干菓子と薄茶、というように構成してみました。そうすれば、1時間ほどで茶室から出ることができます。その後、私たちがアジア部屋と呼ぶ別室にてゆっくりと軽いお食事をいただきながら歓談することにしました。


写真は、八寸のメニューです。手前が海の物として、アナゴの干物。向側が山の物として、一晩出汁に浸した小おくら。これを酒肴として亭主と客との間でお酒のやりとりが繰り広げられます。その他、汁碗はじゅんさいとしんじょう(夏なので赤味噌ベースの汁)、向付には鱧(はも)のたたきにいたしました。
 茶会といえばお茶とお菓子しか連想されないことが多いですが、実は、お食事をいただき、お酒もたっぷりいただくこともできます。茶会のもよおされる時間により、いろいろな決まりごともありますが、勝手な言い方をすれば、朝ごはん(朝茶事)、昼ごはん(正午の茶事)、ごはんの後(飯後の茶事)、夜ごはん(夜咄)、等々と考えてもいいのかもしれません。


お床は、茶会の中心テーマを決めるものですが、お客様のご嗜好を予想し、仏的なものと季のものとのとりあわせといたしました。花は高野槙とほおずきです。お床のものとしては珍しいように思いますが、お客様には喜ばれました。ここでは詳しいお道具の説明は省きますが、茶会は、テーマに添って道具を組み合わせることにより、亭主の伝えたいメッセージをお客様にお送りすることができます。言葉ではなく、しつらえや食事、お菓子、道具のひとつひとつによって、お客様と会話していると考えていいように思います。
 いままで、さまざまな方々をお招きしてきましたが、茶会の後は、席を同じくしたメンバーが、とても仲良くなるように思います。あまり親しくなかった人も、茶室から出て来た後は、打ち解けて、心を通わせているように思えます。とくに、外国の方々は、顕著だと思います。同じものを食べ、同じ器でお茶をいただき(お濃茶は1碗を全員でまわし飲みします)、狭い場所で同じ時間を共有することで、とくに何か突っ込んで話合いをするわけでもないのに、何かお互いに理解しあえたような気持ちになれるから不思議なものです。
 茶会の場には、日本人の、人と人との間のコミュニケーションのあり方における知恵が凝縮しているように思えます。


私たち伝統文化プロデュース連は、伝統文化を知っていただくためのイベントのコーディネイト、茶会、研究会、海外への日本文化発信などを行っております。
 一週間、拙い文章におつき合いいただきありがとうございました。どこかでお目にかかれますことを楽しみにしております。どうもありがとうございました。

 伝統文化プロデュース 連 濱崎加奈子
 http://www.ren-produce.com




posted by LJ21 at 01:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 京都府 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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