2004年11月05日

山口県宇部市 山口大学 河原利江さん 5日目

今日は、8時40分から材料実験がありました。今週は、先週作成した試験体の圧縮試験を行うため、アムスラーという加圧試験機を使って模擬試験を行いました。写真の試験機がアムスラーです。最大100tまで荷重をかけることができます。左側のオレンジ色の台の上に直径10cm高さ20cmの円柱型のコンクリート試験体を設置し、右側の操作部でじわじわと加圧していきます。3年生に実際に機械に触ってもらいました。予想では35tぐらいまでかかって破壊するだろうと予想していたのですが、なんと47tぐらいまで破壊せず、しかもいきなりドスンといって大破壊したため、一時試験室は騒然となってしまいました。私もこの破壊の瞬間は余りなれておらず、何回やってもびくっとします。


ちなみに以前、私自身が煉瓦造建築物について研究しているとお話させていただいたのですが、普段扱っている試験体はコンクリートの円柱ではなく、殆どが煉瓦の小さな角柱や煉瓦と目地がつながった組積体です。写真がその煉瓦組積体の写真です。年がら年中、この煉瓦たちと格闘している状態です。しかし、煉瓦というのは本当に色形だけでなく、品質も様々といいますか、ピンからキリまであるということが実感できます。強度などの力学的特性に偏ってみても、同じ年代に作られたものでも弱いものからとても強いもの、耐久性の面から凍害の要因となる吸水率を見ても高いものから低いもの様々です。
 このそれぞれの品質によって、保存するための手法は一概に決められるものではなく、適した手法が選定されるべきだなあと考え、日々実験を行っているところです。例えば、煉瓦造といえば、よく目地にひびが入ったとか穴が開いてしまったというような箇所があれば、何か補修材料を注入して補修するわけですが、その補修材料が煉瓦の力学特性に、耐久性にどんな影響を及ぼすか、これってあまり明らかになっていないんです。もちろんもともとの材料と同じものを使ってやればいいというのがベストなんですが、それだと奥深くまで続く空洞を埋めることができない。そういったときに何を使うかなんです。・・・こんなことをいつも考えながら過ごしているんです。



私はまだ研究実績が浅いので、もっともっと煉瓦造に詳しい方にいろいろなことを学ばなければいけないなあと思っているのですが、なかなか近くにはいらっしゃらなくて。もしよろしかったら、この若造にご紹介ください。なんて。煉瓦造にはまったのは、煉瓦って土からできているもので、ぼろぼろっと砕くと土みたいじゃないですか。それでいて強く焼き締められていると、コンクリートが非ではないくらい強いものになる。そして、煉瓦はセメントモルタルと組み合わさって頑丈な壁となっている、いわゆるたくさんのユニットの複合体ですよね。その壁が複合体であるだけではなく、古来より全てを煉瓦というわけではなくて、屋根や梁、窓部分なんかを木造にしてみたり、近代になってからは鉄と組み合わされたり。構法としても複合されている。逆を言えば煉瓦造単独で用いられるようなことは少ないとも言えるのですが。


日本だと特に木造との複合構造になっていることが多いですよね。私はあの屋根を見上げたときの表情と一連につながる煉瓦壁の表情を、ずーっと流れるようにつなげてみたときのなんとも言えないしっとりとした雰囲気がたまらなく好きですね。ちなみに写真は門司港レトロ内にある、旧門司税関です。

 ちょっと建築物から外れますが以前、愛知県の渥美半島にあるタイル博物館(大手会社の博物館ですが)に行った時、煉瓦造の焼成窯が保存されていて、その窯と一体化したギャラリーに入館しました。実際に炉内に入れるようになっていて、そこにレトロな椅子が置いてありました。その椅子に座って、高温で溶融した炉内のアーチ状に組積された煉瓦の表情に感銘を受けてしまいまして。しばらく動きたくなかったです。行かれた事ありますか?
 こういった産業遺産の場合は、稼動していた頃の壮絶さと、その現役生活を終えた後の雄大さがあいまって、とてもいい雰囲気をかもし出しますね。


ちょっとまた趣味の世界に走りすぎてしまいました。
 今日の私の行動について話をぐっと前に戻しますと、午前中で材料実験を終えた後、午後からは官学共同研究成果報告会に参加してまいりました。といっても私自身は聞きに行っただけですが。どこの大学も今は当たり前のようになっている、官学連携。大学と地方自治体との連携です。今日も報告会には山口県からたくさんの職員の方が来られていました。主に土木建築部の方々です。山口大学ではこの官学共同研究に、分科会が5つありまして、斜面安定、軟弱地盤、鋼またはコンクリート、河川計画、循環型居住環境、この5つです。5つのうち4つは土木関係です。当大学の社会建設工学科は8年前ぐらいからこの官学連携共同研究をされていて、すごくしっかりとした連携体制が整っております。
 我が感性デザイン工学科の建築系の先生方などを含めた建築系の分科会が、このたび発足しました。それが循環型居住環境分科会です。まだ走り出してまもなく、勉強会も少ないのですが、今後共同研究を行っていくことになっています。私も一応この分科会に所属しております。
 本日聴講した報告会では、大学の研究成果を如何に現場で活用していくかというところが議論のキーポイントとなっていましたが、実際に河川計画や地盤監視対策、洪水対策などに導入されたり、試験的に動いたりしているシステムの事例の報告もあり、実際に思った以上の成果があったというようなことを聞きますと、ほお〜っと身を乗り出してしまうぐらい感じ入るところがございました。確かに、研究していても大学の中だけとか学会の中だけでの話で終わっていては何のための研究だろう、ということになりますし、どういった形で地域に還元していくかということは常に考えていなければならないことですね。ハード面の還元だけにとどまらず、ソフト面の還元によって地域がどのように活性化されるかも、最近の工学的見地からは重要視されています。そういった意味でも循環型居住環境分科会には、地域の人々の動き、住まい方、根付いた文化などを考慮したより良い居住環境の実現へ向けた研究が求められています。

 といったところで、今日の私の一日の報告を終わります。明日は・・・どんな一日になるでしょうか。未だ検討中です。では。





posted by LJ21 at 20:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 山口県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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