2004年11月07日

山口県宇部市 山口大学 河原利江さん 7日目

最後の日になりますが宜しくお願いいたします。

今日は散らかりすぎた家の片付けなどの家事に追われ、気がついたら午後も半ばになっておりまして・・・。うわっと思って急いで大学へやってまいりました。昨日今日と、土日が快晴でとてもよい週末日よりでした。

私事ですが、日曜日は月曜日の午前中の「構造基礎力学」の演習の準備で、午後は研究室のデスクで作業をするのが習慣となっております。何の作業かと言いますと、先週の演習で出題した問題の提出期限が金曜日で、その提出物の採点をまず。そしてその問題の解答作成と次の演習問題の作成をして完了です。今全ての作業を完了しました。明日に備えて準備万端です。



さて、作業は終了したのですが・・・もう既に外は真っ暗で、今日はどこかの場所のご紹介ができません。ですので我が大学のキャンパス内のことを一つ話題にしてみようと思います。

研究棟の新築と改修
ここ数年の間に、建築物の改修ってごくごく当たり前のことになってきましたよね。私自身が研究させていただいている歴史的な建築物の保存に際しての改修(使用用途を変更しているものが多いですね)だけでなく、戦後に建設された鉄筋コンクリートや鉄骨、鉄骨鉄筋コンクリート造など、いわゆるビル建築物といったものの改修は、現在新築工事よりも多いんではないかというほど全国でたくさんの現場があると思います。

東京などの大都会では、バブル時代に建設したオフィスビルを所有し続けることが経済的に難しくなり、思い切って巨大マンションに改修して、さらに自社の不動産部を展開しているような状況です。・・・これは知り合いの企業の方からお聞きした話です。

我が山口大学工学部でも一昨年から去年にかけて、大規模な改修工事が行われました。写真は工学部本館の正面です。以前の姿をちゃんと撮影しておけば比較できたんですけど。

以前の概観は本当に壮絶な感じでしたよ。コンクリートの塊という感じで、いわゆる戦後のビル建築という雰囲気でした。現在は赤茶色のタイル(小口二丁掛け)の芋目地張りで覆われているんです。現在の外壁は実はベランダとして新設されたもので、昔の外壁はその内側にちゃんとあるんです。昔の外壁は、柱型が外に出ていて垂直性が強調されていました。どこでもよく見るスタイルです。私はあの柱型が出ているのは個人的には好きなんですけど。今回の改修ではもともとの躯体の部分は内部の間仕切りの壁を取り壊す以外はそのまま使われています。ですので内部は様変わりしてびっくりです。以前のどちらかというとどよ〜っと暗い雰囲気はいっそうされ、きちんとしたオフィスのように明るいイメージになりました。




一つ残念なのはもともとの躯体の大きさに空調などの設備を入れるために、天井上というか床下というか、その部分に必要スペースをとったので、天井高が低くなってしまって、圧迫感が強くなってしまったことですかね。
もう一つ、周りの先生方からいろいろと評価されるのは居室の間仕切り方法ですね。
図のようになっていて、廊下からまず前室に入ってそのまた奥に居室があるということなんです。教員2人につき共通の前室があって、大体この2戸一で8m角ぐらいですかね。教員のスペースは助手から教授までレベル差なく同じになっております(全てではないですが)。最近の傾向としては、学生に開放するスペースを大きくして、教員のスペースは削減しようというものなんです。なので教授の先生方は昔からの資料や教材を4m角の部屋に全部入れるってことで大変みたいです。私は全くもって広すぎるくらいですけどね。この前室はガラスばり(性格にはアクリルですけど)で歩いている人の腰から頭の上当たりまではすりガラス上で見えなくなっていますが、それ以外は丸見え状態です。これが今の標準的なプランです。・・・まあ、2戸一の中に部屋をきれいに使ってくれる人が一緒だったら快適ですけど、そうでなかったりすると・・・いろいろ大変ですよね。



でも、なにより一番重要なことは昔の躯体を殆ど壊していないことですね。ビル一つ壊すととんでもない量の産業廃棄物が出ますし。

写真は実はこの改修された本館の裏側です。改修は一部ずつやっていくんで裏側は昔のままです。改修の経過とか、状況の大きな変化の把握ができるという意味では、歴史的変遷を感じる面白い状態だと私自身は思います。ちょっと滑稽ですけどね。
先ほどお話した、柱型が外に出ているというのはこういうことなんですが。皆さんはどうお思いですか?
エアコンの室外機が窓の外のひさしの上に置いてあるのがなんとも危険ですよね。台風が来たときはどんなだったんでしょう。改修後はおそらくこの室外機はなくなり、前館天井空調になり、室外機は集中化されると思います。

この他に、新しく建設された研究棟もございます。大体の新設棟と改修棟は、同じ色調のタイル外装で統一されているんです。年代ものの様々な外装の表情を持つ棟が存在しているのも工学部らしくていいと思うのですが、おそらく長期間かけて統一される方向だと推察されますね。

こういった新築や改修の現場を間近で見られることは私自身、とても貴重なことだと実感しているんです。私の将来の夢は、古い建物の診断をして、未来によりよい形で残し、ずっと使っていただくためのお手伝いをすることです。どんな立場であってもいい、そんな仕事をしたい、と思っています。ある建物がそこにあり続けることで経てきた歴史はその所以が何であれ大切な遺産で、やはり建っている場所でずっとそのまちのの風景を見守り、住む人々に見守られ続ける。これが私にとって建築物に対する一番の理想です。

最後に
・・・さてこんな感じで私の一週間の報告を終了させていただきます。本当に個人的で勝手なことばかり書いてまいりましたが、自分自身を見つめる意味で貴重な機会をいただけたと思っております。ありがとうございました。

そして来週の方へおつなぎいたします。






posted by LJ21 at 18:32| Comment(2) | TrackBack(0) | 山口県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
河原さま<BR>1週間、とても内容の濃いレポートをありがとうございました。<BR>コンクリートの固まりの中で暮らしているのにまるで何も知らないことをばかりで感心しまくりました。<BR>昔の建物がどこか風情があるのはなぜなのか、ときどき考えてしまいます。昨年、木造の小学校の建設に関わったとき、時を越える建築とはどんなものなのかを考えさせられました。地域の人々が学校林を管理維持していて、その木が一部建設に使われました。建物を消耗品と捉えるのではなく、どれだけそこに関わる人々の営みを刻んでいけるかということでしょうか。<BR>煉瓦が強く焼き締めるとコンクリートの非ではないほど強くなるというのはとても印象的な部分でした。<BR>河原さんのお仕事への夢も、ぜひぜひ実現してほしいです。中に入るとほっとするような建物がたくさん町に残るといいですね。<BR>本当にありがとうございました。<BR>(朝田)<BR>
Posted by LJ21事務局 at 2004年11月07日 23:33
朝田様<BR><BR>こちらこそありがとうございました。<BR>毎日何を書こうかなあと考えているのがとても楽しかったです。普段はあまり口にすることができない将来の夢も改めて実感することができてよかったです。<BR>山口でのワークショップの際に見せていただいた木造の小学校の写真やビデオは、とても感動的でした。ずっとずっと存在し続けてほしいなあと思いました。<BR>私自身も、さらにさらに努力してよい仕事にかかわっていけるよう頑張ります。<BR><BR>ありがとうございました。
Posted by りえ蔵 at 2004年11月08日 15:06
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