2004年12月23日

東京都世田谷区 長畑誠さん 4日目

昨日は「コミュニティ再生の鍵は?」という問いかけで終わりました。本来ならその続きを書くべきなのでしょうが、まだまだ考えがまとまっていません。関連することは今週後半で書こうとは思っていますが・・・。

 というわけで、今日はちょっと別の話、私が関わるインドネシアでの活動についてご紹介します(また国外か、と思われるかもしれませんが、すみません、なにしろ「アジア畑」の人間なもので・・・)。今年1月から3年の計画で始まったJICA(国際協力機構)の技術協力プロジェクト「市民社会の参加によるコミュニティ開発」という活動で、私は短期専門家として年に数回現地を訪れています。また日本にも現地関係者(NGOリーダーら)を研修に招いており、昨日紹介した神戸の「まちコミ」を訪ねたのもこの一行でした。(その後に宮城県加美町も訪問して、宮崎食文化研究所をはじめ町の皆さんに大変お世話になりました)


住民主体のコミュニティ開発はいかにして可能か
 このプロジェクトのインドネシア語名は”Pengembangan Kemitraan untuk Pemberdayaan Masyarakat”(略称:PKPM)といいます。直訳すると「コミュニティ・エンパワメントのためのパートナーシップ構築」となります(カタカナばかりで「和訳」になってませんが・・・)。この「パートナーシップ構築」の部分が日本語の「市民社会の参加による」と対応しているわけですが、これは要するに「住民組織と行政とNGOが協働して活動する」という意味です。
 インドネシアでは長年にわたり、中央集権的な政治体制のもとで、政府が決めた様々なプロジェクトがトップダウンで地方に流れる、という形をとってきました(それが独裁政権の権力維持につながっていたわけですが)。1998年にスハルト大統領が失脚し、急速な民主化と地方分権化が進むなかで、「開発」のあり方もボトムアップ型、それぞれの地域独自のあり方が追求されるようになりました。
 しかし「上から/外から流れ込む開発プロジェクト」に慣れてきた地方行政や住民の側は、自分たち自身でその地域の課題を認識し、ビジョンを共有して協働して問題解決にあたる、という経験が殆どありません。突然降って湧いたように「住民参加型のプロジェクトをやりなさい」と言われて、外国ドナーの援助資金が流れ込んできているわけです。
 そこで、地方行政と住民、そして間に立って住民参加型の活動を促進する立場の地元NGOが、真の意味での「住民主体のコミュニティ開発」を可能にする「モデル」を模索する、というのがこのプロジェクトの趣旨です。対象地域はインドネシアでも「開発が最も遅れた地域」とされている東部の10州です。(写真は北スラウェシ州マナドの夕日)



発展途上な地元NGO
 このプロジェクトで私は、私の師匠である和田信明氏(飛騨高山を拠点とするNGO「ソムニード」代表、南インドで主に活動)とともに、「NGOや地方行政の能力育成」を担当して、現地や日本での研修活動に協力しています。インドやバングラデシュでNGO活動に携わってきた和田氏や私の目からは、インドネシア、特に対象地域である東部で活動する地元NGOは、若くてやる気は十分だが、経験が足りず「未熟だ」というのが共通の印象です。
 例えば今年4月、私たちは、南東スラウェシ州の海岸部でマングローブの植林を行う小さな地元NGOを訪問しました。彼らは植林をすると同時に、食用にする澱粉をとった後のサゴ椰子の幹を活用した燃料を開発していました。これは、村人たちが薪にするためにこれ以上マングローブの樹木を切らないようにすることが目的です。一方、私たちが海岸部を歩くと、放棄された池に出会いました。エビの養殖池でした。「この村にはこんな池がどのくらいありますか」と村人に尋ねると、「たくさんある」とのこと。そこで案内をしてくれた地元NGOのスタッフに、「この村でエビの養殖池がマングローブの破壊にどれだけのインパクトを持っているか調査しましたか」と聞くと、「そんな調査はしていない」と言います。それでは「薪に使うことでマングローブがどれだけ減っているかも調べたか」と尋ねると、「それも調査していない」とのこと。「何で?」と聞くと「調査活動にはドナー(援助機関)がお金を出さないので」と言います。(写真は養殖池を前に質問する関係者ら)
 要するに、この地元NGOは、ドナーが「マングローブの植林にお金を出す」と聞いて、その活動を始めた、というのが真相のようです。もちろん代替燃料を開発したのは彼ら自身のイニシアティブによるものですが、それも「そもそもマングローブの減少は果たして村人が燃料に使うことが原因か」という根本的な問いを忘れています。そして何よりも、この村にとって最も重要な課題は果たしてマングローブの植林だったのか、という疑問が残ります。村人とともに村の課題を考える、という最初の一歩がなされていないのです。
 援助機関がお金を出すプロジェクトの「下請け」的に働くことで、村の現実から遊離し、村人の主体的な参加も促せなくなる、というのが、今現在東部インドネシアで活動する地元NGOが共通して直面する危険性です。



自ら気づき、主体的に動こうとする若手NGOリーダーたち
 しかし、そうした問題点に気づき、住民主体のコミュニティ開発を実現するために、外部者としてのNGO(や地方行政官)はどのような役割を果たすべきなのか、そのあり方について真剣に考え始めたリーダーたちが居ます。
 PKPMプロジェクトに関わる地元NGOの関係者は総じて40歳代前半以下で、元気でやる気十分、柔軟でコミットメントのある人たちです。バングラデシュでエスタブリッシュされたNGOに勤める「サラリーマン化」したスタッフを多く目にしてきた私からすると、とっても新鮮で眩しく見えます。それは彼らNGOリーダーだけでなく、地方行政や中央政府でこのプロジェクトに関わるお役人たちもそうです。この「前向きで将来の可能性を感じさせる」ところが、インドネシアに関わることの楽しさかもしれません。(写真は現地での研修プログラムで話し合うリーダーたち)

 このプロジェクト、まだまだ始まったばかりです。どうか今後を楽しみにしていて下さい。そして毎年、地元NGOや地方行政のリーダーたちに日本のさまざまな地域を訪れてもらい、相互交流と研修ができれば、と思っています。皆さんの中で、やる気十分で魅力的な彼・彼女たちを受け入れてみたいと思う方、ぜひご協力をお願いします!





posted by LJ21 at 23:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京都 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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