2004年12月24日

東京都世田谷区 長畑誠さん 5日目

「いりあい・よりあい・まなびあいネットワーク」
 さて今日は、私が仲間と今年立ち上げた、この長い名前のグループについてお話しします。略して「あいあいネット」といいます(おさるさんをキャラクターに、という声もありますが・・・)。コミュニティを基盤とした資源管理と自治をテーマに、アジアの住民組織、NGO、研究者等のネットワークを通じた共同調査や経験交流を目指しています。

「まなびあい」
 そもそも私が2年ちょっと前にシャプラニールの事務局を辞めた時、「シンクタンクを作りたい」と考えていました。NGOでずっと現場で活動をしていると、その日その日の仕事に追われ、短期的な課題の解決ばかりを考えるようになります。「自分が関わっている相手の社会は世界の(歴史の)中でどういう位置にあるのか」「そもそも開発とは何なのか」「どんな社会を目指すべきなのか」といったマクロ的な視点をもって考えることができなくなっている、というのが当時の問題意識でした。そこで「シンクタンク」だったのですが、その後いろいろ活動する中で、「シンク」する(考える)のは、私たち先進国のNGOの人間ではなくて、途上国の現場で生活する住民自身であり、そこに直接関わる地元NGOであるべきではないか、と思うようになりました。
 「開発援助」の世界では、援助を行う側の機関が対象とする地域や課題についての調査を計画・実施し、それをもとに相手国政府と協議して援助プロジェクトの立案を行い、事業を実施する、という形が普通です。そうした調査の場面では、住民や地方行政はあくまで「対象」であり、地元NGOは調査員として「手足」として使われるだけ、という構図が殆どです。今必要なのは、住民が自分たちの地域の資源と課題を認識し、進むべき方向性を見定めていけるための、住民自身による調査であり、それを脇から支え促進する地元NGOによるファシリテートの筈です。
 「調査」はあくまで「アクション」と結びついてこそであり、しかもその本来の主体は住民自身である、と考えるようになった私は、同じような問題意識をもって「実践する研究者、研究する実践者」を模索していた京都大学大学院の島上宗子さんと出会い、新しいグループの構想をともに進めることになったのです。目指すのは、各国の住民、NGO実践家、研究者が互いに響きあい、新たな発見が自らの活動に繋がるような調査や交流を、アジアの現場で生み出すことです。

「いりあい」
 こうした経験交流や共同調査のテーマとなるのが「いりあい」と「よりあい」です。「いりあい」については、島上さんが書かれた文章から引用させてもらいます。
 そもそもこの企画を構想するようになったきっかけは、2003年7月、大阪市立大学法学部主催のシンポジウムに出席するため来日したヘダール・ラウジェンさんとともに日本の山村を訪ね、森や入会林野に関わっている人々・研究者と議論を交わしたことにあります。ヘダールさんは、インドネシアで森や土地をめぐる権利問題に弁護士として携わってきた人物で、中スラウェシの山の民といわれるカイリ族出身。山村で村長を務めた経験もあります。
 日本の山村を訪ねる中でヘダールさんは、日本人の自然(森や稲)に対する感覚と自分たちの感覚に共通する部分が多いことに驚き、また、日本にはインドネシアの慣習権(hak ulayat)に似た入会権が存在すること、日本もインドネシアと同時期(19世紀後半)に、西欧から「所有権」の概念が導入され、以来、所有権の曖昧な森林が国有化(+公有化、私有化)の道をたどってきたこと、それでも日本では現在も財産区などの形で法的に認知され、入会慣行が生きている地域があること、などを聞き、ひどく感銘をうけていました。
 「日本のことをもっと知りたい。研究者・NGO・住民の間で経験交流・情報交換・協同学習の機会をつくろう!」と意気投合、再会を期したわけです。
(島上宗子「インドネシア訪問報告」2004年4月、近日中にウェブにて公開予定)(写真は伊勢神宮を訪ねたヘダールさん)
 日本の「入会」だけでなく、アジアではコミュニティがその成員の生産や生活を維持するために必要な自然資源(森・水源・海など)を共同で守り活用していく仕組みが見られます。こうした共有の自然資源を維持管理すること、「Common Property Management(CPR)」が、コミュニティの存続に深く関係しています。近代化とグローバル化が進む中で、このCPRが今後どうなるのか、はコミュニティの今後にとって大きな意味をもつでしょう。なお、CPRは自然資源に限らず、都市のコミュニティにとっての社会インフラのようなものも含められるかもしれません。



「よりあい」については、紙幅の関係であまり述べられませんが、コミュニティが物事を決めていく仕組み、意思決定のあり方を指します。まさに「自分たちのことを自分たちで決めて、実行し、守っていく」という「自治」そのものの課題です。これについても、各国各地域の経験を交流し、学びあいを通じて新しい動きに繋げられたら、と考えています。

 「いりあい・よりあい・まなびあいネットワーク」、まずはトヨタ財団「アジア隣人ネットワーク」の助成をうけて、日本・インドネシア・インドをフィールドとして、連続勉強会と、インドネシア・中スラウェシ州や日本での経験交流・共同調査を計画しています。ウェブサイトを立ち上げましたら、LJ21のサイトにも紹介してもらいますので、どうかお見知りおきを、よろしくお願いいたします。




posted by LJ21 at 22:50| Comment(0) | TrackBack(0) | LJ21事務局担当 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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