2004年12月25日

東京都世田谷区 長畑誠さん 6日目

さて、そろそろLJ21のお二人と私との「なれそめ」を書かないといけませんね。初日に「奇跡のよう」と言いましたが、完全なる「海外系」の私をお二人に引き合わせてくれたのは、「あいあいネット」を一緒に始めた島上さんでした。「いりあい・よりあい・まなびあいネットワーク」では、コミュニティを基盤とした資源管理と自治をテーマに、アジアの住民組織、NGO、研究者による共同調査や経験交流を目指しています。その流れの一つとして、「日本の地域づくり」からいろいろ学ぶことができないだろうか、と考えていたところ、そういうことに以前から関心をもって関わっていた島上さんが、LJ21のことを紹介してくれたのです。

 でもそれだけだったら「お知り合いになれた」だけだったかもしれませんが、なんと、仕事を一緒にすることになったのです。JICA東京の「市民社会支援プログラム」という仕事で、日本や海外の「住民主体の地域づくり」の事例を研修のコンテンツとして作っていく、という仕事をLJ21と私たちがすることになりました。そのおかげで、お二人と一緒にいろんな地域をまわることができ(浦嶋さんとはバングラデシュまで一緒に行きました!)、とっても勉強になり、また刺激をうけた一年でした。

海外研修生と一緒に水俣で地元学に触れる
 そうした活動の今年の締めくくりとなったのが、海外9カ国(タイ、フィリピン、カンボジア、ネパール、バングラデシュ、スリランカ、トルコ、ウズベキスタン、ガーナ)から11人の研修生(地方行政官やNGO職員ら)を連れた現場訪問研修でした。まず11月末には水俣にお邪魔しました。初日は久木野地区で相思社の遠藤さんや愛林館の沢畑さんのご指導で、実際に村を歩いて、地元学の実践の一端に触れることができました。翌日は市役所で寄ろ会や村まるごと生活博物館の取り組みについて聞いた後、頭石地区の「村まるごと生活博物館」へ。住民の皆さんの活動を見せてもらい、いろいろお話しをお聞きし、活発な質疑が行われました。そして最終日は吉本哲郎さんから地元学の考え方やその応用についてお聞きした後、研修生同士で討論を行い、最後は吉本さんや遠藤さんと討議する、という大変盛りだくさんの企画でした。(写真は水俣市頭石の「村まるごと生活博物館」にて)

 研修生たちが共通して感銘を受けていたのは「ないものねだりからあるものさがしへ」という地元学のアプローチでした。途上国の現場では普通「皆さんの地域では何が問題ですか」「何が必要ですか」という聞き方をして、「その地域にないものを外から導入する」という活動が殆どです。それに対して、地元学の「あるものさがし」という考え方は、地域の住民が自分たちの持つ資源を認識して、できることから前向きに自力で取り組む、という「住民主体」の動きを促進するために重要な切り口だ、と認識したようです。頭石の村まるごと生活博物館で、村の人たちが前向きに自分たちの未来を考え、外の人たちとの交流を目指している姿を実際に目にして、強い印象を受けたようです。また生活博物館を仕掛けた市役所の側のアプローチが参考になる、という研修生も居ました。



岩手県紫波町で、「循環型まちづくり」を考える
 研修生たちが次に訪れたのは、循環型まちづくりに取り組む岩手県紫波町です。まず役場で循環型まちづくりの経緯、どのように住民を巻き込んで計画を立て、実行していったかの説明を受け、NPO法人「紫波みらい研究所」の方から、環境探検隊や地産地消メニュー研修会など、循環型まちづくりに関する活動をお聞きしました。さらに森林資源循環として町産材で作られた小学校も見学しました。翌日は2カ所の産直センターをまわり、産直組合長さんから農業者の自主的な取り組みとしての産直の意義と日本の農業が抱える課題等についてお話しを聞きました。農協も訪問しました。さらに役場で「ゴミの18分別」や「マイバッグ運動」を住民とともに進めていった経緯を聞きました。最終日は研修生の側から自分の国での取り組みの発表(ウズベキスタンはアラル海の水位激減の問題、カンボジアは地雷撤去問題)と、紫波町訪問で学んだこと、考えたことを発表し、討論を行いました。こちらも密度の濃い訪問となりました。(写真は産直センターあかさわにて)

 この訪問では「循環型まちづくりというコンセプトを、どのようにして住民を巻き込みながら具体化していったか」というプロセスを考えてもらうことが主眼でした。NPOの果たした役割や、役場から住民への働きかけの経緯など、学ぶことは多かった筈ですが、それ以上に研修生にとっては、「資源リサイクル」と「産直」という二つのテーマが刺激的だったようです。「ゴミの分別収集とリサイクルを自分の地域でも試行したい」「農家に産直というあり方を紹介したい」と語る研修生がかなり多かったです。途上国においても都市化が進みゴミ問題が意識されつつあることや、農村における現金収入の増加や都市との繋がりが課題となっていることの現れでしょう。殆どが暖かい国から来た研修生に12月の東北は少し可愛そうでしたが、実り多き旅でした。



日本の地域と途上国の地域を繋ぐ意味
 今回の二つの現場訪問は、日本の地域でさまざまに取り組まれている「地域づくり」の活動が、途上国の地域でコミュニティ開発に取り組むNGOリーダーや地方行政官などにとって、よき学びや刺激になりうることを証明したと思います。これは、経済発展の度合いは異なっても、「グローバル化と近代化の中で、地域の社会・文化や環境に根ざした開発はどうあるべきか」「住民を主体にして、NGO・NPOや行政、民間企業が協働する活動はどのように可能か」という共通の課題を抱えているからでしょう。ローカルジャンクション21と私たちとが出会ったのは、決して偶然ではなく時代の必然だったと思います。

 今回の研修、「日本の受け入れ側にとってはどんな意味があったのか」を検証する必要はありますが、必ず何らかの学びや発見が日本側にもあると思います。今後とも双方向の学びあいと経験交流の機会を増やしていきたいです。こうした機会作りを積極的に進めているJICA東京に感謝です。水俣と紫波で受け入れてくれた皆さん、そしてお忙しい中調整にあたり現地訪問までつきあってくれた朝田さん、浦嶋さん、本当にありがとうございました。全国の地域で活動される皆さん、ぜひこうした出会いの機会を持ってみませんか。




posted by LJ21 at 23:22| Comment(0) | TrackBack(0) | LJ21事務局担当 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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