2005年04月28日

岩手県江刺市 及川純一 5日目 水車小屋

4月28日(木)晴れ
 
 人首の町から種山方面へ向かって行くと、中沢集落へ向かう橋が左に見えてきます。そこを渡って500mぐらいの所に中沢トコトン水車があります。
 この水車小屋は明治10年頃に大場梅三郎という水車大工が建てたものです。間口5間、奥行き3間の茅葺き水車小屋です。この水車小屋は浅倉平治氏から三浦久蔵氏に移り、主に三浦家が中心となって経営してきたものでした。
 この水車ではコメ・ムギ・ヒエ・アワなどが精製され、コメ・コムギ・ダイズ・キビなどが製粉されていました。この作業は女性の手で行われ、男性は運搬作業を行っていたようです。最盛期には24時間稼働もあったそうで、その繁盛ぶりが伺い知れます。しかし昭和40年には機械の普及に押されて受注が減り、立ち行かなくなってしまいました。そのためそれ以降休業の状態が続いていたのです。何年も放置されていたため、建物の傷みもひどくなっていました。それを見かねた市内の篤志家が自分の浄財で修復しましたが、受注もないため使用する機会を得ず再び放置され、廃墟に近い状態で残されていたのです。


そんな中、平成16年春に浅倉冨治氏の努力により保存会が結成され、米里地区有志によって再度復元されました。地区の人々は茅葺き作業を手伝ったようで、故老から作業の手順ややり方、コツなどを聞きながら葺き上げたと聞いています。この作業が地区の結束を高めたようです。今後水車をいろんな形で利用することで農村の暮らしを豊かに出来ると期待をしています。

 さて完成写真をご覧になってどんな感想を持たれたでしょうか。外見からはわかりませんが、この水車は初めから営業用に造られています。そのための工夫がたくさんあります。
 水車本体の位置を見て下さい。よく見かける水車小屋は建物の外に出ているはずですが、この水車は建物の中央寄りにあります。なぜでしょう。これは営業品目を増やすための工夫です。水車が外に出ていると利用する空間は片側だけですが、建物の中央にあると両方使えるのです。建設当初から篩い付きの石臼1基と米麦用の杵8基が設置されていました。それぞれを木製の歯車で連結して稼働させるという、往時としては他に例を見ない水車小屋なのです。


その造りを説明しましょう。水は中沢川から水路で導水します。水車手前で水路を約40°前後に傾けています。落水に加速を付け水車に当てることによって出来るだけ大きな水車を回そうとしているのです。
 水車小屋は水車によって二分されています。水車の左側には大きめの石臼があります。水車は写真の方角から見て反時計回りに回転します。それを木製の歯車で回転の方向を変え石臼を回すようになっています。しかも挽かれた粉を篩いが篩って完成品となります。縦の回転が横の回転に変わり、さらに前後に動くように工夫されているのです。
 水車の右側には精製と製粉用の杵と臼が8基あります。水車の縦の回転をそのまま直角に曲げ、杵を動かす軸に伝えます。8つの杵が同時に動くと軸に力がかかりすぎるので、8つの杵が一つずつ動くように微妙に調整されています。
 このシステムを実際に見たときの感動は忘れられません。人間ってなんてすごいんだろうと思いました。でも、もっと驚くことがありました。水車右側に窓があり、杵を動かす回転軸が見えます。かつてはこの回転軸が建物の外に伸びており、軸の回転を利用して外では製材も行っていたと言うことです。


水車を利用可能な限り利用して営業を行っていたのです。先人達の英知と努力を肌で感じました。

 今度は使われなくなった水車の話しです。
 実は私の親戚の家が中沢入り口近くにあり、やはり製粉の水車を回して営業していたのです。この水車がまたすごいのです。小学生の頃一度だけ見せられたことがあったのですが、いまだに忘れられません。
 ここの水車は人首川から取水し建物へ導水します。この水はそのまま建物の中に入り、滝のように落下するのです。その中には縦のタービンが2基、並んで設置されていました。水は渦を巻いて落ち込み、その勢いでタービンを回します。これを動力として製粉業を営んでいたのです。落水とタービンの回る音がものすごかったのを覚えています。最近いつ頃造られたのかを聞きましたが、大戦前だとか戦中だとかではっきりしません。戦後活躍していたことだけは確かです。現在は河川改修で導水路が使用できなくなり、使っていないとのこと。設備はそのままあるそうなので、もったいない気がしています。



posted by LJ21 at 17:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 岩手県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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