
志佐地区は小さな漁港のある住民300名ほどの集落なのですが、NTTを早期退職後、「食の工房 ふきのとう」を開き、農産加工をはじめた山根さんの目についたのはひとり暮らしの高齢者の多さでした。
そのお年寄りの多くは車の運転ができないのですが、まとまった買い物のできるスーパーは数キロ離れた町の中心部にしかありません(そもそもそのスーパーが進出したために、身近なお店がつぎつぎ廃業に追い込まれたのですが)。
山根さんは、不便さをかこつお年寄りをみかね、私費を投じてこの朝市を開こうと思い立ったそうです。

朝市の人気は山根さんがつくる地場産大豆100%の豆腐、おからコロッケやおはぎ、船員だった同級生がつくる新鮮な野菜……。ひと月の半分を東京で、半分を大島で暮らしているツレアイも自家製の野菜やスダチを出しています。
ささやかな、「早めの定年帰農」の同級生の気持ちが集まるこの朝市は、ひとり暮らしのお年寄りの気持ちが集まる場所でもあるようです。

高千穂のような山村、大島のような島(橋でつながっているので行政上は「離島」扱いではないようですが)は、思えば農山村の、いや日本全体の縮図のように思います。
そこには矛盾もいち早く現われれば、その解決策もいち早く現われるような気がしています。そこには大都市・大企業がいまだ示せないでいる高齢者の、また若者の「希望」があるのではないでしょうか。
昨夜の若者たちもみんなが大島への希望を語っていました。

山根さんの豆腐は地場産大豆100%なのに、信じられない安さです。
