2005年11月06日

東京都足立区 佐野憲一朗 7日目

朝,ニワトリの鳴き声で目が覚める。

今日の仕事は里道の草刈だ。人が安全に山に入り,自然を楽しむためには,里道が必要である。しかし放っておくと草が生えてくるため,定期的に人が草を刈らなければならないのである。エンジン付きの草刈機を持ち,ボランティアたちは進んでいった。自分よりも高く立ちはだかる熊笹を,ばっさばっさと刈ってゆく。狭くて暗い里道は,みるみるうちに日の光が差し込む明るい道となった。

途中で休憩を取る。エンジン音が消えてた里山は静まり返り,冷たいお茶が体にしみわたる。深呼吸をしてほっとする。


腹が減っては戦はできぬ。昼休みにはエコリゾート本館へ戻る。エコリゾートのレストラン季楽では,旬の素材を使った健康料理がならぶ。裏の畑で取ってきたばかりの野菜がふんだんに使われている。材料は冷蔵庫ではなく,裏の畑から引いてくる。

ボランティアらと,デイサービス利用者のおじいさん,おばあさん達は,とびきりの笑顔でご飯をほおばる。こんなに食べたら太っちゃうわと言いながらも,もう一口。おいしい食べ物は健康なからだを作るのはもちろん,心までも健康にする。


午後は木の伐採をする。雑木林に多いクヌギやコナラなどの落葉広葉樹は,伐採してもその切り株からまた若い芽が生えてくる。これは萌芽更新と呼ばれ,若くて強い木を育てるのに必要な作業である。人間に搾取されながらも里山が残ってきたのは,萌芽更新のためである。

まず倒木をチェーンソーで運びやすい大きさに切る。それを道まで運び上げて,作業車で運び出す。


運び出した木はさらに小さく切り,エンジン付き薪割り機で割り,薪にする。刃がゆっくりとスライドし,丸太にメリメリと食い込んでいき,最後にパキッと割れる。スイッチを押す指1本で割れるので,デイサービスの利用者の方々も一緒に作業をすることもある。手元にある斧も使ってみるが,初めのうちは丸太に当てるのすら難しい。

こうして作った薪は,エコリゾート本館のストーブ「ペチカ」のための燃料として使う。この薪がないと,冬が越せないのである。


日が暮れてきたら道具を片付ける。暮れなずむ帰り道では,バッタやトンボと出会うこともしばしば。クモの巣除けのために持っていた枝を差し出すと,その先にチョンと降りてきて羽を休める。心を癒してくれる贅沢な時間だ。

仕事の後は,炭酸風呂の大浴場で体の疲れも癒し,夜が更けるまで,グラスを片手に語り合うのであった。


これは,赤目の森を訪れた,とあるボランティアの1日です。私も休みの時に時々,赤目の森へ行ってこのような生活をし,元気になって帰ってきます。


こうしてボランティアが育てた里山には,多くの人々が訪れます。
地元の赤目小学校の児童たちは課外授業に訪れ,四季の移り変わりを知り,自分の住む場所の素晴らしさを感じます。デイサービス利用者の方は,自分の生まれ育った原風景に囲まれて若返ります。地元の人は,里山総合講座に参加して森の恵みを知ります。各地の行政職員やNPOの関係者もここを訪れ,自分の取り組みへのヒントを見出します。国際ワークキャンプで訪れる外国人ボランティアはもちろん,日本の若者たちも日本の伝統的な生活とその英知を発見します。こうして,里山は多くの人を育んでいます。

里山は,単なる環境問題の範囲に留まることはありません。里山は人間の生活の場であるため,福祉,教育,文化,食など,人間に関係するあるあらゆる分野とつながっているものなのです。赤目の里山でも,それらのつながりを大切にし,里山保全の枠を超えた,総合的な「里山」活用事業に取り組んでいます。

そういう点に私は魅力を感じ,赤目の里山で活動を行っています。

その魅力は赤目の里山を訪れてもらうことなしに伝えることは難しいですが,赤目の里山に来るきっかけとなるようなウェブサイトを作ろうと,今日は1日家でパソコンに向かって作業を行なっていました。
最終日は意外にも地味な1日でしたね。


この1週間お付き合いいただきありがとうございました。自分の生活から何を伝えようかを考えることで,自分自身の生活を顧みることができました。
この機会を作って頂いた,ローカルジャンクション21の皆さん,そして最後まで読んで下さった皆さんに,心から感謝いたします。




posted by LJ21 at 23:26| Comment(8) | TrackBack(0) | 東京都 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
1週間お疲れ様でした。<BR>週末も充実してますね。土曜授業講師として地元に大きく貢献してるのもすごいと思いました。<BR>就職に関しての悩みも興味深く読ませていただきました。私もかなり悩みました。決まった今でも悩んでいます。<BR>憲一郎氏の行き先が非常に楽しみです。<BR>
Posted by 602 at 2005年11月07日 10:08
サノケンさん、一週間、どうもありがとうございました。<BR>しっかり悩んで、ばっちり勉強して、きちんと遊んでいるご様子、関心しました。私の20代はこんなに充実していなかった・・・。きっといい中年になれると思います。<BR><BR>さて、今週末、よろしくお願いしまーす!<BR>
Posted by LJ21 あさだ at 2005年11月07日 23:30
ワ〜ッ!とても充実した理想的な週末モデルです〜!佐野クンのような感性で若い方がこのように週末を送られると「日本の里山」が蘇るでしょうね〜!<BR>今週末、里山とミツバチのおいしい関係も魅力的です〜どんな関係でも里山では面白く発展していきそうですね。またまた、佐野クン、赤目で大活躍ですぅ〜。よろしくお願いします。<BR>
Posted by 赤目の小鹿のバンビ at 2005年11月07日 23:58
602さん<BR><BR>1週間読んでくださり,どうもありがとうございます。<BR>皆さんのコメントに支えられて,1週間楽しみながら書けました。<BR><BR>一度決断しても,悩み,迷うことも,ありますね。その気持ちわかります。<BR><BR>将来何をしようか悩みますが,自分の将来像の色々なパターンを考えている時間は,案外楽しい時間なのかもしれないと思います。<BR>先輩方の就職に関しても,ぜひ今度,経験談を聞かせて頂けたらと思っています。
Posted by 佐野 at 2005年11月09日 00:33
あさださん<BR><BR>先週の月曜日は,1週間どうしようかと思っていましたが,ブログを担当することで,自分の生活の中の出来事を,意識しながら過ごせました。ブログが私の生活を充実したものにしてくれたように思います。<BR>私は日記を付ける習慣もなかったのですが,この1週間で,自分の生活を顧みることの面白さを発見しました。<BR>声をかけていただき,どうもありがとうございました。<BR><BR>いい中年になるために必要だと,まわりの中年の方々から,機会があるたびに,酒,映画,どどいつ,能など,色々なものを薦めてもらっています。いい中年への道は,まだまだ険しそうですね。<BR><BR>今週末は,あさださん達と一緒に,私も赤目の森に登場する予定です。皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。
Posted by 佐野 at 2005年11月09日 00:48
赤目の小鹿のバンビさん<BR><BR>どんな関係でも里山は結びつく。まさにそうですね。里山は人が集まる場所だから,集まる人によって,どんな方向にも関係を作っていけますね。私も自分の専門の電気工学との結び付けを考え中です。<BR><BR>今週末は,こちらこそよろしくお願いします。<BR>一番たくさんコメントをくれた,赤目のディズニーシリーズさんには,ブログの秘密を教えちゃいます。最終日のブログ中の薪割りの写真をクリックして拡大表示すると,生き生きした姿が見れますよ。
Posted by 佐野 at 2005年11月09日 01:01
な〜るほど〜(^^)つなぎの女の子がほんとに薪割ってる〜!また、みんなが赤目に<BR>集まるといいね!赤目にきておいしいもの食べすぎで、今までの蓄積か んんs 体重が増えてしまい軽やかに森の中を駆け巡るのが鈍くなってきたこの頃・・・・。<BR>次の若いバンビが赤目の森を駆け巡りますように(^^)v
Posted by 赤目のちょっと太めのバンビ at 2005年11月09日 21:09
赤目って、いろいろなバンビがいるようですね。お会いできるのを楽しみにしています。
Posted by LJ21 あさだ at 2005年11月09日 21:31
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