2006年09月25日

沖縄県竹富町 飯田泰彦 1日目

《ごあいさつ》

みなさん今日は。「NPOたきどぅん」の飯田泰彦と申します。学生時代から沖縄で暮らし、やがて20年。この2月からは、歌と踊りに憧れて竹富島で暮らし、NPO活動をしております。今日から一週間、おつきあいのほど、よろしくお願いします。

NPOたきどぅんは、島の豊かな文化遺産を管理し、島人の生活に生かしていこうという目的で、2002年に設立されました。「たきどぅん」という言葉は、竹富島に古くから伝わる歌謡などによく出てくる語で、「竹富島」という意味です。
NPOたきどぅんの活動の詳細はホームページでもご覧になれます。

《竹富島の位置》

竹富島は隆起サンゴ礁からなる周囲約9キロメートルの小島で、日本最西端・最南端を含む、八重山諸島のなかのひとつです。北緯24度、東経124度に位置します。島の民謡「しきた盆」では、石垣島の真正面に据えた、まん丸のお盆にたとえられています。
英語には素晴らしい表現があるもので、「竹富島のことをいつも心に留めておいてください」というとき、「To put Taketomi island on the mental map…」というそうです。つまり、竹富島を心の地図に載せてください、というのです。心憎い表現ですね。
ところが、実際の地図を広げてみたとき、竹富島をはじめ、八重山諸島は、日本辺境の地ということからか、ページの端っこの枠のなかで、隔離されるように収まり、窮屈そうです。

ちょっと視点を変えてみましょう。

taketomijima.jpg

写真は、竹富島を中心に置いた地図です。

taketomijima2.jpgこれはNPOたきどぅんの事業のひとつとして管理・運営する、西表国立公園竹富島ビジターセンター「ゆがふ館」の展示パネルです。

これを見るたびに、島々の位置関係、距離感、また、いかに日本列島が南北に細長いかを実感します。ここで距離を確かめると、もっとも近い外国である台湾まで、200kmあまりです。本州最南端の鹿児島県までの距離は、約1000kmですが、南へ目を向けると同じ距離にマニラがあります。大陸へ視野を広げてみると、上海や香港も1000kmの範囲なかに入ってしまいます。

竹富島は、本土よりも中国や東南アジア地域と歴史的にも深い関わりもってきました。島の北側にある新里村遺跡からは、大陸との交流をうかがわせる、12〜14世紀の中国製の陶磁器が発掘されています。また、竹富島を拓いた始祖とされる6人の酋長たちも、沖縄本島や久米島、屋久島、徳之島から、海を越えて竹富島にやってきたと伝承されています。このように視点を少し変え、いろんな要素をつきあわせることで、竹富島が辺境の地であることよりも、アジアの広がりのなかに位置することを感じることができるのです。

《台風一過》

台風13号は、先島のほぼ全域を巻き込み過ぎ去りました。久々に身の危険を思った台風でした。それもそのはず、報道によると、石垣島気象台の観測史上2番目に強い瞬間最大風速を記録したとのことです。ちまたでは、風速70kmを超えたとか、超えなかったとかの議論が盛んです。

とにかく、15日晩から16日未明にかけて、停電と雨漏りのなか、猛烈な風と雨に怯え、夜を明かしました。
八重山地域では、家屋の全壊、飲料水の枯渇、農作物の被害などなど、台風13号は島に大きな爪あとを残しました。とりわけ竹富島では、今回の台風で、防風林であるはずのフクギが折れるという被害が、島のあちこちで見られました。

島では、その後片付けも、ようやく落ち着いてきたという雰囲気です。しかし、あれだけの台風にも関わらず、島の復旧は「うつぐみの精神」(一致協力の心)が存分に発揮され、驚くほどに早かったです。それでも、10日間ほどは掃除ばかりで、皆少々疲れ気味です。
そんななか、台風お見舞いのお電話を何本かいただき、たいへん心強く思いました。
この場を借りてお礼申し上げます。
ありがとうございました。

《総合文化としての祭祀》

南西諸島の島々が文化の交差点と呼ばれるゆえんは、亜熱帯という自然の育んできた文化のうえに、黒潮にのってきた南方文化、日本語を代表とする北からの文化、琉球王国時代の交流による中国文化の影響が幾層にも重なりあって、それぞれの島の文化をかたちづくってきたからです。
 島々独自の文化が、色濃くあらわれるのは、祭りのあり方ではないでしょうか。また祭祀には島の諸相がうかがえます。それゆえ、祭りが総合芸術といわれるのも、よく理解できます。

八重山地域の多くの伝統的な祭祀は、農業暦と歩調を合わせるように、旧暦によって執り行われます。竹富島ではこの季節、神事をはじめとする年中行事が、たて続きに続きます。
2006年度はこれから、9月29日には海の彼方の豊かな恵みを迎える「ユーンカイ(世迎い)」、翌日30日・10月1日は両日にわたって1年の祈願の願解きをする「キツガン(結願祭)」、そして10月6日の「十五夜祭」を経て、10月22日から9日間の日程で島最大の祭祀「タナドゥイ(種子取祭)」を迎え、クライマックスです。

先日21日には、NPOたきどぅん主催で、「祭事教室」と銘打つ学習会を開きました。テーマはずばり「世迎いと結願祭について学ぼう!」。島人、観光客あわせて30名あまりが参加し、ユーンカイでうたう神歌「とぅんちゃーま」を斉唱しました。
ひとつひとつの折り目を大切にし、理解を深めていきたいものです。

今後、身辺のできごとと同時に、竹富島の祭祀の様子や、当日に向けて、奉納芸能の練習や準備風景など、ミーナライ(見習い)・シキナライ(聞き習い)しながら、みなさんにお伝えできればなぁ、と思っております。そして、少しでも竹富島を感じ、心に留めていただくことができれば、このうえない喜びです。


posted by LJ21 at 23:45| Comment(3) | TrackBack(0) | 沖縄県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。
台風13号では、竹富島もかなりの被害だとうかがっています。石垣島でも福木が折れているのをみかけますが、それでも他の庭木にくらべたら、丈夫で、何よりも台風で潮をかぶって赤茶けた木々のなかで、福木だけは、青々と茂っております。そのみずみずしい緑葉をみながら、”福木”なんだと、あらためて感激いたしました。
竹富島のレポート、楽しみにしていますよ。頑張ってくださいね。
Posted by コーラル玉城 at 2006年09月28日 12:26
飯田さん、初ブログおめでとうございます。とてもまじめな文章でした。今度の台風のことなど(屋根から水がおちてきたことなど)是非書いてみては?では、がんばって下さいませ。
Posted by みりん at 2006年09月28日 17:22
コーラル玉城さま、みりんさま。
あらためて台風お見舞いありがとうございます。
いつも示唆に富むご助言に感謝してます。
Posted by 飯田泰彦 at 2006年10月06日 08:46
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