2006年02月15日

鳥取県鳥取市 家中茂 2日目

BTH2316038_0B.jpg鳥取へ来る前、沖縄では、島々の自然と人の暮らしのありようをテーマに訪ね歩いていました。4年間、那覇にいたあいだに通ったのは主に竹富島です。赤瓦の屋根と白砂の道で知られ、年間30万人が観光に訪れる島ですが、その町並みの美しさは、祭祀を維持するために島に住み続けようしてきた人々の日常の暮らしが(つまりは願いが)集積して形をなしたものであることを知りました。それから、ダイビングで有名な座間味(慶良間)にも。先々週の1月30日は旧暦の正月で、この座間味を訪ねていました。


BTH2316038_1B.jpg旧暦正月2日には、漁民が「初おこし(ハチオコシ)」の祝いをします。1年の航海の安全と豊漁を祈願してのことでしょう。昼過ぎに漁協組合の人々が集まって、新年の挨拶をし、やがて漁船のうえでも祈願をしたり、漁民の家々を訪ねまわります。といっても、現在、漁業を専らにしているのは、この座間味のなかでも阿嘉島に2名ほどしかいません。いまサンゴ礁の海に多く出ているのは、ダイビングショップを営んでいる人たちです。

BTH2316038_2B.jpgこの座間味で、人々とサンゴ礁の海とのかかわりは、時代に応じて変遷してきました。琉球王国時代は、中国との貿易の進貢船の船頭として活躍しました。その傍らに私貿易もしたのでしょう、財を築きあげた面影は、慶留間島の高良家住宅にみることができます。ただし、多くの家屋は沖縄戦のなかで灰燼に帰し、また、本土復帰後の生活の変化のなかで、台風に強いコンクリート家屋とブロック塀に変わりました。

明治に入ってからは、慶良間節の名で知られる、カツオ漁と鰹節産業の地として栄えました。座間味は沖縄の鰹節の発祥の地でもあるのです。しかしまた、戦後の社会変化のなかで鰹節産業が衰え、いよいよ島に何の仕事もなくなったときに、1980年代からダイビングという新たな産業がやってきたのです。

BTH2316038_3B.jpgこうして、島を取り巻く社会条件の変化のなかで、同じサンゴ礁でありながら、その資源としての意味あいが変わってきます。かつては、カツオ漁につかう生き餌の小魚たちの棲息場所が、いまはダイビングスポットとして案内されることになります。

沖縄の漁民(海人ウミンチュ)の追い込み漁業(潜水漁業)を支えた身体技術が、ダイビングインストラクターの才能として開花したのです。このように時代に応じて位置づけが変わるサンゴ礁資源ですが、一方、その海に対する感謝の念や海に生きる民としての誇りは現代においても再確認され、生き続けているということができます。昨年末ラムサール条約に登録された、この座間味(渡嘉敷とあわせて慶良間海域)のサンゴ礁には特別な意味があります。1972年の「本土復帰」以降、開発が進展するなかで、埋立や護岸工事、赤土流出、オニヒトデ大発生、海水温暖化による白化現象などによって、沖縄のサンゴ礁は瀕死の状態に陥っています。そのような沖縄沿岸のサンゴ礁が再生するには、健全な海域のサンゴが産卵し、それが潮にのって寄り来たって着床し、芽生え育たなければなりません。このサンゴの卵の供給ができる唯一残されたサンゴ礁こそ、慶良間海域のサンゴ礁なのです。

ところが、ここも慢性化したオニヒトデの大発生によっていつ全滅してもおかしくない状態です。ここが全滅したら、あとは八重山など他のサンゴ礁域からもってくる他はありません。このような状況のなか、座間味のダイビング業者の人たちは、オニヒトデ駆除の活動を毎日のようにおこなっています。

自然を守るということは同時に自分たちの生活を守るということでもあって、そこには建前と本音の使い分けはありません。サンゴ礁の海を持続的に利用するために、海を閉じたり(保護区の設定)、アンカーを投げずにブイに係留したり、潜ったりなど、自主的にルールをつくって自らに規制を課しています。そのことが、いまのこの島の人々の海への感謝と自らの誇りの姿なのです。サンゴに生かされ、サンゴを生かす、未来を展望する生き方の源基があるように思われます。




ラベル:座間味 沖縄県
posted by LJ21 at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 鳥取県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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