
たまごかけご飯では、当社の「海の精使用 吟醸純生しょうゆ」をみなさんに使っていただいて、とても好評でした。ありがとうございます!
影法師コンサートの後、部屋でいろいろな話をさせていただく中で、日本の農業政策のこと、地方の小規模農家と過疎化のことなど、考えさせられました。
今日は醤油の原材料について書こうと思います。
「丸大豆醤油」というのをお聞きになったことがあると思います。
使っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

では、この丸大豆醤油の「丸大豆」の意味は知ってますか?
丸い形の大豆を原材料にするという意味ではなく、大豆をそのまま丸ごと使うという意味です。なぜそんな言い方をするのかというと、醤油醸造に使用される大豆原料の約80%が「脱脂加工大豆」だからです。脱脂加工大豆というのは、大豆の中に含まれる油脂分を抜いた大豆です。取り出された油は食用油として利用されています。この脱脂加工大豆と区別するために、丸大豆という言い方をするわけです。


脱脂加工大豆は安価ですし、それを原料とした醤油はうまみが強く、シャープな風味とキレのある香りが特徴です。
一方で、丸大豆中には約20%の油脂が含まれていますが、醸造工程中で酵素の働きにより「グリセリン」と「脂肪酸」に分解されます。グリセリンは上品な甘みがあり醤油に味のまろやかさを与えます。丸大豆醤油はコクがあり、重厚な風味でまろやかな香りが特徴です。
弓削多醤油では丸大豆はすべて国内産を使用しております。また、小麦もすべて国内産を使用しております。どちらも自給率の低い穀物でありますので、安定して確保するのが難しいようです。(国産大豆といえば納豆・豆腐・煮豆でも人気がありますので。)国産の丸大豆というのは、醤油に使われる大豆全体のわずか0.2%にすぎません。
ウチの社長に聞きますと、それでもまだ普通の国産大豆はなんとかなるようです。当社では有機JAS認証された「有機しょうゆ」という商品がありますが、その原材料である国内産有機大豆・国内産有機小麦を確保するのがとても困難なようです。確保するためには、やはり農家さんとのお付き合いが大切だそうで、具体的には、有機農法による小麦の生産に転換しようとしたときに、農場の転換期間中も有機小麦の価格で買う、といったことなどです。

「醤油は食品なので安心して口に入れられるものでなくてはいけない」という会社の考えもあり、国内産の原材料を使用しておりますが、そういう安全面や環境面だけでなく、国内産の大豆はタンパク質が豊富で「おいしい醤油ができる」ということも大きな理由です。当社で使用している大豆・小麦の産地は、埼玉県の他、北海道や東北地方なども多いです。
影法師コンサートの後、終電の混み合う電車の中で、日本の農業を取り巻く環境と、醤油醸造において国内産の原材料を使うことの意味などを考えていました。
本当においしいですね。食べることを楽しめるだけでなく、お腹の中で菌が元気に働いてくれるなんて、ありがたいお醤油です。
ドタバタ日記にパーティ&コンサートの様子のレポートをアップしました。同時掲載です(笑)