昨日紹介した「巻網」というアユの捕り方ですが、これも非常に面白い漁法です。大紀町のアユは伊勢湾からの天然遡上と、稚魚の放流があります。3〜4月頃に遡上してきたアユは流れのあるところで20〜30匹、時には50〜100匹くらいの群れで川底のコケを食べています。このコケが良いか悪いかでアユの成長や食味にも大きく関係してきます。「巻網」は様々なやり方がありますが、私達が主にやっている方法は、まず、流れのあるところにいるアユの群れと、流れの無いところにいるアユの群れを探します。そして川の上流から100mほどの間を水中メガネを付けて流れ、何匹くらい捕れそうか確認します。アユはコケのある石や大きな石の周りに付く習性があるので、流れがあまり無く、アユが付く石のあるところで「しゃくり」で捕りやすそうな場所へアユを集めます。
集め方は、長さ約40m、高さ2〜3mの網をアユを集める場所の上流に川を横断するかたちで設置します。その網より上流にアユが上れないように川底は網を石でしっかり固定し、水面を飛び越えて逃げないように、竹に網を引っ掛けて水面から網を50cmほど出します。そして、アユのいる下流側約100mのところから、これも同じく長さ約40m、高さ2〜3mの網を川幅いっぱいに広げ、両端と真中を3人程度で網を引きずりながら川を上り、アユを上流の網のところまで追い込みます。(めちゃくちゃしんどいです。)
6月〜8月頃のアユは川を上る習性があるので、下流から追い込み、逆に9月過ぎの落ちアユの時期は上流から下流へと追い込みます。追い込んだアユは多い時は1,000匹以上、検討外れのときは数匹のときもあります。そして、さらに短い網で網の中を区切り、その中にいるアユを「しゃくり」という、竹の先に針を付けた竿で川の中に潜って引っ掛ける漁法で捕ります。300匹も入れば網の中はアユの水族館のようです。その中に入る瞬間がいつも一番興奮します。そんなときは狙いを定めたアユを引っ掛け損ねても違うアユが引っ掛かるほどです。まさに一網打尽です。
巻網は場所や条件にもよりますが、3人から多い時は10人くらいで行います。捕れたアユは参加した人数で分けます。この巻網漁は漁協の鑑札が必要で、解禁は8月10日頃です。大紀町の川での楽しみのひとつで、この時期にはどの場所で何匹捕ったなど仲間同士での情報交換が携帯やメールで盛んにやり取りされ忙しく楽しい時期です。
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アユ捕り楽しそうですねえ。
これから一週間、大紀町の様子を見れるのが
楽しみです。