初日に紹介したアユの捕り方の中で「夜ぶり」という聞きなれない漁法を紹介しましたが、今日はこの「夜ぶり」について詳しく紹介します。
「夜ぶり」とは、夜、川に潜ってアユやウナギなどを捕る漁法です。防水の懐中電灯で水中を照らしながら逃げ惑うアユを「しゃくり」(竹の先に針を付けた竿で魚をっ掛ける漁法)で捕獲します。アユは夜、光に照らされるとすばやく逃げる習性があるので、アユの動きを読み、どの方向に逃げるかを予測しながら捕らえなければならないので、経験と技術が必要です。逆に光に逃げる習性を利用し、網を張って懐中電灯で追い込む方法もあり、「火振り」と呼ばれています。昔はたいまつで行われていたからとのことですが、今はほとんど懐中電灯です。アユは夜も流れのきついところに多くいるときもあり、しゃくりよりも手づかみのほうが捕れることもあります。懐中電灯で照らされたアユは流れの中逃げ惑い、石の間に隠れます。そこに隠れたつもりでいるアユは直接照らさないかぎり逃げませんので、軍手をはいた手で掴むほうが、効率が良く、上手な人は30匹以上も捕る名人もいます。
また、夜の川はアユだけでなく夜行性の魚がエサを求めて活動するので面白いです。ウナギ、ナマズ、アカネギ(アカザ)、ネコギギ(天然記念物)、ズガニ(モクズガニ)、など昼間は滅多に見ることができない魚も活発に活動しています。それにサツキマスや大きなアメゴ(アマゴ)なんかも昼間より捕れる確率が高いです。また、夜の川で出会うのは魚だけではありません。
3年ほど前、「夜ぶり」に出かけたとき、自分の目の前に巨大な岩が落ちてきたかのような「ドッボーン」という大きな音と水しぶきがたちました。土砂崩れかと思い思わず怖くなり声を上げてしましましたが、懐中電灯で前を照らしてみると、そこには大きな三の又の雄鹿が犬かきで川を泳いでいきました。夜の川で怖いと思ったことはありませんでしたが、この日は非常に怖い思いをしました。他にも途中で電池が切れて真っ暗の中を泳いで帰ったり、大きなウナギを引っ掛けて仕掛けを切られたりとトラブルは多々ありました。その都度、自分で工夫し、名人と呼ばれる地元の方に教えてもらったりしながら、今では用意周到で川へは出かけるようになりました。
「夜ぶり」も漁協の鑑札が必要で、解禁が9月15日頃ですが、危険いっぱいの夜の川を是非体験してみたい方はいつでもご案内します。
【関連する記事】