2007年01月30日

東京都新宿区 大江正章 2日目

 2月の新刊『しのびよる電磁波汚染』を校了しました。これは03年に出版した『危ない電磁波から身を守る本』の続編です2冊の本の著者・植田武智君とは古い友人で、彼が長く属した市民団体を辞めて独立するお祝いの意味で、最初の本を創りました。だから、売れることはほとんど想定していません。こういう本を平気で創れるのが、自分で出版社をやっているメリットです。かつて「友だちの本を創ってはいけない。著者を友だちにしろ」と教えられました。これは原則的に正しいのですが(一般論では甘くなるからです)、例外もあっていいでしょう。

 その『危ない電磁波から身を守る本』(初版3500部、本体1400円)は、すべての人の予想を裏切って相当な反響を呼びました。書店では、まあそこそこなのですが、生協や共同購入団体で大変な売れ行きを見せたのです。暮らしの安全性に敏感な人たちにとって、携帯電話・IH調理器・送電線などの電磁波は「なんとなく気になる存在」であり、それでいて、わかりやすい適切な本がありませんでした。だから、この本がたくさんの人たちに読まれたのでしょう。ちょうどきょう、また2000部を増刷。これで12刷となりました(実は、初版どまりの本もけっこう多い)。

 ぼくはこれまで、環境ホルモンや遺伝子操作など科学技術が暮らしにもたらす問題点を追及する本を創ってきました。それらは幸い「わかりやすい」という評価をいただいています。これは、ぼく自身が極度の科学オンチだからです。中学の理科や高校の物理・化学・数学はクラスでほぼビリ。すっかり投げていました。編集にあたっては、普通の人ならわかる内容がぼくにはひっかかり、何度となく著者に尋ねました。『環境ホルモンの避け方』などの著者・天笠啓祐さんからは、「大江さんは原稿を渡してからも、注文が多くて、かえって時間がかかる」と言われたほどです。電気や電磁波なんて、言葉を聞いただけで寒気がしてきます。手元に『理化学辞典』などを置いているのですが、そもそもそこに書いてある内容がわからない。そういう人間が一応は納得するまで中身をもむので、多くの読者にわかりやすくなるのでしょう。

 一方、科学とはとても言えないのが、テレビ「発掘!あるある大辞典」と、そのシリーズ本。そんなに簡単に痩せたり快眠できたりするはずないのに、みんながそれに飛びつく。しかも、日本中でそれがはなはだしくなっています。そうした関連本がたくさんあるし、週刊誌でも日常茶飯事。作っていて、よく恥ずかしくないもんだと、あきれます。一言で、一見「わかりやすく」言い切るのが常套手段。それをますます広めたのは、他ならぬ小泉首相です。ワンフレーズで言い切るセンスすらないのが、いまの最悪首相ですが……。いずれにせよ、なんでもかんでもただわかりやすければいいわけではないと、自戒を込めて最近は思っています。

 夜は、理事をしているアジア太平洋資料センター(PARC=Pacific Asia Resource Center)
で、新作ビデオの内容をチェックする試写会。ここは南と北の人びとが対等・平等に生きることのできる社会をつくることをめざして活動するNGO。東ティモールのコーヒー農民や戦乱下のスリランカの漁民支援に取り組むほか、月刊誌『オルタ』や、他が教えない真実を学びあう出会いの場「PARC自由学校」の開設など、幅広く活動しています。ビデオは、中学校から大学までの総合教育・社会・一般教養・ゼミなどに役立つ内容。『エビの向こうにアジアが見える』『徹底解剖100円ショップ』などが好評です。

今回は『ペットボトルの水』。水は井戸や水道から飲むのが当たり前でしたが、いまや世界的にペットボトルの消費量が急増しています。でも、途上国の貧しい人びとは買えないし、ヘルシーなんてイメージだけ。東京では、ペットボトルに入った水の値段は、水道水の何と1800倍! 公共水道を整備するほうがよっぽど大事です。詳しくは間もなく発売されるビデオをぜひ見てください。

 終わって、生ビールを2杯飲み、少しだけつまみを食べて、事務所に戻りました。


posted by LJ21 at 23:08| Comment(1) | TrackBack(0) | 東京都 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ペットボトルの水を買って帰るとき、いつもその重さが手元にずしっときます。いろいろな意味で。
地方、特に山間の過疎地に出かけて一番うらやましいのはおいしい水がふんだんにあることです。湧き水をいただく瞬間はいつも、つくづく「下流社会」での暮らしを脱出したいと思ってしまいます。
このビデオ、見たいです。
Posted by LJ21 あさだ at 2007年02月03日 17:16
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