2007年06月16日

新潟県十日町市松之山 田辺慎一 6日目

 松之山には、若きマムシハンターがいる。今年、中学3年になった彼は、小学生の頃すでに大人にひけをとらないハンターであったと聞く。キョロロに来て間もない頃その話を聞いて、また実際にその若きハンターに会って話をして、こりゃ自分でもとらなければならんなぁと漠然と思っていた。

 松之山で暮らし、キョロロで仕事をしていると、生き物について人生初めて経験することがなんと多いことか。見て、聞いて、嗅いで、触って、食べてと、まさに五感で感じることだらけだ。普通、ある生き物について、食べることまで経験することは少ない。マムシ、ハチの子、うさぎに関しては、それぞれで五感を使うこととなった。

 マムシに出会うときは、突然やってきた。昨年8月、ブナの芽生えを調べているときだ。がさがさしたので、またウサギかと思ったが...振り向いたとたん目と目があってしまった。彼(?)は逃げた。私はというと、正直なところ、めんどくさいと感じてしまった。疲れているし、暗くなる前に作業が終るかどうか焦ってもいて、森の奥で人里から離れているし、袋もないし。しかし、身体が勝手に追い始める。それからは、どうやって捕まえるかしか頭にない。彼は、ときどき止まっては威嚇する。

しゃー。

mamushi.jpg

とはいわなかったが、ほんとに聞こえた気がした。とぐろを巻いたとき、身体がえらく太くなっているのに気がついた。チャンスと思い写真に撮った。撮りながら、ハッと気づくとかなり近づいていた。危なかった。こんなことで噛まれたら、あまりにも情けない。彼は、また素早く動き出す。私は手ごろな枝を捜しながら追いすがる。先端が二股に分かれた枝を見つけた。勝負に出た。足で上半身のどこかを踏んで、一気に頭を押さえる。やったぜ。でもそこから手に取るまでが一番緊張した。頭は枝の下だが、うまく指が入らない。枝をゆるめるのは怖いし、でもそうしないと捕まえることができないし。悶々とした時が過ぎる。その後あっさり手づかみできたが、見ると彼の顔はかなりひしゃげていた。

mamushi2.jpg

思わずというか、当然というか、押さえる手にかなり力が入っていたようだ。でもしぶとく生きており、はじめてのマムシ捕獲は無事に終った。時計を見ると、30分ほど。短かったのか、長かったのか、感じとしてはどちらでもなく。その後は、ザックにマムシをいれ、ブナの調査を続けた。


 その約一ヵ月後。件のマムシを食べた。それまでは、浅めに水を張った2L焼酎のペットボトルに入れて、身体の老廃物を出させておく。皮のはぎ方や食べ方は教えてもらった。先生は、キョロロスタッフの一善師匠。これが心臓で、胆のう(いわゆる肝)で、と皮をはぎながら教えてくれる。さばき終わったマムシを見ていると、いきなり胆のうを飲み込む師匠。

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心臓はやる、と言われて、まだとっくんとっくんしている心臓をおし頂いた。口の中で転がして味わいながら、飲み込んだ。感想は特になし。内臓はフライパンでいため、塩を振って食べた。いためている内に油が出てきて、かなりジューシー。これはうまかった!

 今年の3月、野兎追いに参加した。打ち手さん8名、追い子さん12名。長くなるのではしょるが、打ちし損じたウサギが、なんとこちらに逃げてきた。そりゃっと捕まえて、耳を持ってぶら下げていたら、その内おとなしくなった。ふっと、気を抜いた瞬間逃げられた。逃げていく先には、地元の追い子さんがいる。捕まえると、すぐに近くの木の太い枝に頭の後ろを打ち付け、さっとまた歩き出す。反省。捕まえにきたのに逃げられるとは。はっきりと目に焼きつけた。
 
 夕方からの反省会には、ウサギ尽くしの料理が並ぶ。うさぎ汁、焼肉など、どれもおいしかったが、背肉の刺身は絶品だった。獣肉はいろいろと食べてきたが、これが文句なく一番。血抜きもしていないのに生臭くなく、たんぱくながらも滋味があり、やわらかくて、ウサギがこんなにうまかったとは。
 
 ハチの子を捕まえて食べるのは、キョロロに来る前も何回か機会があった。ので、省略。

 今、私にとってマムシやウサギは食べ物だ。外でマムシを見つけたら絶対にとってやる、と思っている。ウサギはかわいいだけでなく、おいしい生き物。背肉の刺身が頭に浮かぶ。

 いまのご時世、うまいものがたくさんある。しかも簡単に手に入る。別にマムシやウサギを食べなくても良いのです。ほんとにそう思う。しかし、自分の中で自然の見方が変わった、というか、「食べる」という視点がドカンっと強くなったことで、マムシやウサギなどに対する興味や関心が非常に大きくなった。自然は食べ物の宝庫。里山の自然は、特にそうだ。息子たちや娘にもぜひ食べてもらいたいし、できればその前に、探して、見て、聞いて、においを嗅いで、触ってというプロセスを経験してもらえればと思う。間違いなく、これらのプロセスを踏んで食べるのが一番、と実感しているのです。

 キョロロには、今年4月からカタツムリの研究者が加わった。カタツムリはうまいのか?一番うまいカタツムリは?料理法は?タニシもぜひ食べてみたい。松之山でカタツムリを食べたという話は聞かない。ここでの伝統や暮らしの知恵に学びつつ、カタツムリなど松之山の新たな食材の可能性を探るのも、キョロロの大事な使命。というか、機会あらばもれなく食べる。キョロロにいるとそうするようになってしまうのでした。


posted by LJ21 at 08:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 新潟県 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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