ざわわ、ざわわ、ざわわ…と、さとうきび畑じゃないけれど、一昨年の10月はじめに訪れた日本海側の町・鰺ヶ沢で見た毛豆の畑を渡る風は、そんな感じの音を立てていました。
9月下旬から10月はじめが旬だという青森の毛豆は葉がたっぷり生い茂り、さやがパンパンに膨らんでいた。軍手をはめて、腰のあたりまで伸びている茎の根本に近い部分をむんずとつかんで、ぐいっと引くと、意外とあっさり抜けた。

農家の方が準備してくださったお湯に、茎から外したばかりの毛豆を入れてゆでてもらい、塩をまぶして口に運ぶと、甘みが十分、まるで栗のようにホクホク感があり、何たって一粒が大きいから食べごたえがある。この時期の畑は朝晩の寒暖の差が大きいから、十分な甘みを持つという。

毛豆は、昔から青森に自生する枝豆で、その名の通り緑のさやを、茶色い毛がびっしり覆っている。ゆでる前に塩で洗っていると、ちょっと手が痛くなるくらいに頑丈な毛だ。毛豆といえば、山形のだだちゃ豆が一足先に売れ筋になっているけど、私としては絶対、青森の毛豆のほうがおいしいと思う。ひところ、栽培されなくなっていたらしいのだけど、最近はまた人気が高まり、県内でも栽培する人が増えているらしい。
LJ21さんは、先月の東京朝市でこの毛豆を売ってくださったようで、嬉しい限りです。青森の企業組合「あっぷるぴゅあ」では通販も行っています。今年の分は残年ながらもう時期が終わるので、来年以降、ぜひお試しいただければと思います。
毛豆の津軽独自の食べ方をひとつ。茹でた枝豆を、さやつきのまま塩水に数日つける「豆漬け」というものがあります。うちのばあちゃんが時々やってくれましたが、数日たって軽く発酵してくると酸味が出てきて、これがまたなかなかウマイのです。日持ちがするので、たくさん手に入ったときには試してみてください。

そうそう、少し前から、毛豆を使った豆腐や納豆が製品化し、新宿の伊勢丹で売られているそうな。写真は、昨年の1月、食育フェアで開かれた毛豆のワークショップに向けてサンプルで作られた毛豆の豆腐。豆の甘みと香り、ほんのり緑がかった色が上品で、瞬く間に売れてしまいました。

今回の新製品は、さらに輪をかけておいしいに違いありません。近々、買って、楽しもうと思っています。