2007年07月08日

島根県飯石郡飯南町 有田昭一郎 最終日

それでは4、5,6日目に続き、私が参加している野研(野外体験産業研究会)の紹介をしていきます。今日は、ものづくり系ワークショップ等に関わるものを中心に。

ものづくり系ワークショップ「田園に過ごす小屋をつくる」
この1年間、野研は、木、竹、石、土、鉄など身近な素材を使った「田園に過ごす」をテーマにした建物づくり中心に活動を展開しました。その理由は、
@建物づくりは総合的にものづくりを体験できるプロセスであること、
A基本的な生活環境である住居空間づくりを体験することは次世代(子ども達)の育ちを考える上でも重要なプロセスであること・体験しなければ気づかないことがあること、
B野研のスタッフは、身近な素材を使うといっても、従来の「古民家」や、昔のライフスタイルに逆戻りすることをよしとせず、もっと現代のライフスタイル・空間認識・建築技術をいかしたあり様があると考えていること(但し、風景との調和は重視しています。ヨーロッパでは外見は風景と調和し、内装は超モダンということはよくありますよね。)
以下にその幾つかのシーンをご紹介します。

壁土を練る・小屋の改装・クドづくり(5日目に紹介した小屋を作ったプロセス)
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樹を切り倒す・柱をつくる(森づくりが専門のスタッフの指導で)
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樹が倒れるときの音はなんともいえずものすごいです。一歩間違うと大怪我するので参加者はものすごく真剣。

野研海外研修会
体験することに重きを置く野研は30〜40代の若手(?)でこの2年間ヨーロッパに調査研修に行っています。野外体験活動、デザイン、建築、森づくり、農業経済など様々なジャンルの人間が一緒に行くので多面的に発見があって面白いです。野外体験活動の人は言葉は分からなくても地図読み・情報収集能力が高くすぐ土地に順応します。デザインの人はいろんな物に見とれている間に2度迷子になりました。建築、森、農業の人間はその方面の写真しかとっていません。その一部を紹介します。
 
ロンシャンの教会(ル・コルビジュ作)
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コルビジュがフランスのロンシャン村に作った教会です。この教会を見る前にパリで建築家の解説つきて散々ゴシックやロマネスクの教会をみたのですが、ロンシャンの教会には驚きました。解説によれば、この建築家は、ゴシックやロマネスクの教会のもつ宗教建築としての空間構成(内部の形状、採光諸々)を分析・構造的に理解し、コンクリート・鉄筋など近代建築の建材を使って、機能する宗教的空間を再生したのです。確かに、18世紀に建てられた石組みのゴシックの教会と同じ雰囲気をもっていました。人間ってここまで理解を深め、ものづくりできるのかと、私が身をおく社会科学の論理とは、全く別の論理性をかいまみた気がしました。

スターブ・ビルケ
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ノルウェーのフィヨルド沿いに点在する木造教会です。世界遺産に登録されているものもありますが、別に周りを積極的に観光地化しているわけではなく、普通の教会として使われお墓には美しく花が生けられていました。お墓から少し離れた所にはベンチが置かれ、ゆっくりした時間が流れています。ここに来た人は心を静め、先祖から引き継がれている建物や風景は美しく・豊かなで大切なものだと改めて感じます。本来の遺産のあり方をみせられた気がしました。

ハイブリットなキッチン
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以前、北欧の囲炉裏→暖炉→薪ストーブ→キッチンストーブの進化についてご紹介しました。この後、北欧でもキッチンストーブはガスコンロやIHヒーターにとって変わられるのですが、結構、キッチンストーブとIH等を併用している人もいるようです。急がしいときは、IHと電子レンジでチーン、時間がある週末やバケーション時はキッチンストーブを使う。こんなハイブリッドなキッチンもこれからはありだなと思っています。

ヴァルス村の風景
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スイス・グラウビュッテン州のヴァルスという小さな山村へ行きました。ヨーロッパ全土から滞在客が来るリゾート地ですが、あるのは急傾斜な放牧地、点在する乾草小屋、石葺きの家屋・集落、温泉、地元料理レストラン、宿泊施設でした。普通に農業が営まれ、風景と調和する集落があり、それに気持ちよい滞在・宿泊施設、素敵なレストランが立地すば観光は成立するのだなと改めて思いました。(但し、電柱、奇抜な建物など風景を阻害するものがなく、家屋等の建物は石葺き・壁の色は逸脱したものがありません。また、スイスには優れた農地保全政策、地域交通など生活サポート対策、観光政策があります。)日本の里山風景のどこが特徴で、生活観光・観光の視点でみれば何が阻害要因なのか考える上で大変勉強になりました。当たり前になると気づけなくなるものが沢山あるのですね。
あと一つ、ヴァルス村には美しい風景を資源として活かす機能として、優れた温泉宿泊施設(フェルゼン・テルメ)がありますが、このことについてはまた機会がありましたらご紹介致します。興味ありましたらフェルゼン・テルメでネット検索してみてください。


以上で終わりに致します。かなり偏った内容になってしまいました。地域のこと、私の本業のこと、また機会があればご紹介させて頂きたく存じます。
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昨日は、地元飯南町の夏祭りでした(半夏まつりといいます)。花火が上がるので、子どもやかみさんと地べたに座って、ビールのみ、唐揚げ食べながら、ゆったりしました。こんな一時が一番幸せですね。

1週間、お付き合いいただきありがとうございました。
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2007年07月07日

島根県飯南町 有田昭一郎 6日目

それでは一昨日、昨日に続き、私が参加している野研(野外体験産業研究会)の紹介をしていきます。今日は野外活動に関わるものを中心に。

シャワークライミング(しまね自然の学校・野研実施)
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国立三瓶青年交流の家(島根県大田市)で実施された、野遊びの達人養成講座(ファシリテーション養成講座)の一コマ。講座の目的は、自然体験活動の指導者養成で、シャワークライミングを通し、「冒険」する子どもの目線を体験的に理解して頂くこと。最近、冒険が子ども達に大切だと川に子どもを投げ込んだりするプログラムもあるそうですが、今回のプログラムは逆に自分のやってない領域に挑戦するのがどんなに勇気のいることか認識するためのものです(もちろんビレーヤーがおり安全は確保しています)。参加者の方は、滝を登ったあと、滑ってロープで支えられた回数で、「1度死んだ」「3度死んだ」といっていました。
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このプログラムはビレーするスタッフにとってもすごく勉強になります。登る参加者の腰にロープがついていて、そのロープを滝の上で張って安全確保するのですが、ロープを引っ張りすぎると登っている人はロープに依存してきます、ゆるめ過ぎると危険です。張れているか張れてない状態がベストです。登っている方も“怖いけど挑戦している”のような状態の中で、常にロープが自分の動きに合わせピンと張られているのはかなり安心します。このようなプログラムでのビレーヤーとは、参加者の自立した挑戦をサポートする存在なのです。これって、サービス業、教師、公務員はじめ全ての職業がある意味そうかもしれませんが、サポートする仕事では最も大切なことではありませんか。また部下に対する上司、生徒に対する先生、弟子に対する師匠、色んな関係の中でも必要な認識だと思います。で、このようなプログラムでは、終わった後、参加者、指導者、ビレーヤー自分の感じたことを話し合います。これと同じことを理解して頂くプログラムに、ツリークライミングがあります。これも登る人とビレーします。
ツリークライミング 写真
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スノーキャビンプログラム(デザイン:土井周一氏)
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参加者が自分で雪洞をつくり宿泊し、屋外で食事するプログラムです。このプログラムは、今のところ、研修、レジャー(体験観光)、子ども対象の体験教育として行っています。
流れはおおよそ同じで、@雪を積み、踏み固め、山型にする、A中をくり貫き雪洞にする、B雪洞の底を平らにし防水する、です。“かまくら”と違うのは観音彫り構造で耐久性があり、天候にもよりますが一度作ると20日は持ちます。また雪洞には内部はー3度以下には下がらない、氷と違い雪の結晶間から空気が常に供給される等の特徴があり、宿泊が可能となります。かまくらは一晩すると天井が落ちたりするので危険ですので野外宿泊には利用できません。
 昨年、益田市匹見町という所で、民間の宿泊施設と連携してレジャーとしてプログラムを展開しました。参加者はカップルや友人グループ、家族連れで、皆スタッフのサポートを受けながら半日かけて雪洞をつくります。その後、レジャーですので、氷点下の屋外でたき火料理を召し上がって頂きます。面白いですよ。客観的に見ると、氷点下の雪原で一日中作業し、氷点下で食事をし、雪洞に宿泊するなど、かなり厳しい環境で結構しんどいことしているのですが、みんなとても満足されます。きっとみんな、つくることや極限体験、家族や友達との共同作業への欲求が本源的にあるのだと思います。「体験」プログラムには常にこのような発見があります。

明日は最後に野研の最近の活動の中心である、田園に気持ちよく過ごす小屋をつくるワークショップ等について紹介したいと思います。
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2007年07月06日

島根県飯南町 有田昭一郎 5日目

それでは昨日に続き野研(野外体験産業研究会)の紹介をしていきます。今日は倶楽部ハウスと「食」に関わるもの中心に。

野外体験産業研究会の活動拠点「たき火小屋」
P1030821.JPGワークショップで作ったもので、農機具小屋を竹、鉄、土、石等の素材をつかって改装しました。きっかけは、メンバーの1人が「僕、田園風景の中で結婚式したい」と言ったこと。それではやろうということになり、7〜11月までかけて小屋を改装し、結婚式場にしました。当日は、両家から親戚・友人が集まり約100人規模の式になりました。
それを更に改装して、クドやファイヤープレースをつけ現在のバージョンとなっています。

タマネギがつるされた風景のインスタレーション(野研代表 岡野正美氏作)
060621_2148~01.JPGタマネギがつるされている風景は美しいだろという主張。直売店舗やレストランにも設定したいとのこと。



可動式パン焼き釜(岡野正美氏作) 
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30分でパンが焼けます。薪でなく粗朶で焼きます。




クド(野研作・デザイン:岡野正美氏) 
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一回で20人分のご飯が焚けます。総学の時間など環境学習で使用)

薪を積み上げた壁(薪積みの風景のインスタレーション)(野研作、デザイン:岡野正美氏)
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薪積みの風景は美しだろうという主張。鉄枠でフレーミングしています。壁に十字が切ってあるのは結婚式の名残りである。純粋にデザイン)

竹の壁(野研作、デザイン:岡野正美氏)
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きまち石の庭(土井周一作)
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畑の野菜を使った昼飯風景(ベロニカの会作:野研ワークショップで)
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ベロニカの会は、別名、「田園に豊かに暮らす」を考える女性の会といい、野研のクラブハウスがある出雲市上津に暮らす30〜40代の女性グループです。クラブハウスを拠点に、自分達の世代が上津に豊かに暮らし子育てすることを真剣に試行錯誤しようと、いままで距離をおいていた畑で野菜をつくり、それを調理して食事会を開いておられます。野研のワークショップや研修事業で連携して、食事の調理及びサーブを担当して頂いています。

中山間地域の風景のインスタレーション(野研作、デザイン:土井周一、岡野正美)
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去年の8月10日に、島根県中山間地域研究センターで「中山間地域から持続可能な社会を考える」というシンポジウムがありました。全国から人が集まった大規模なシンポでしたが、野研はそこで「体験から中山間地域の可能性を考える」という分科会を代表と私で担当しディスカッションしましたが、目に見える形でも可能性を共有できないかと、センターの建物の外にレセプション会場をつくりました。薪の壁とタマネギのラックでパティションをつくり、バーカウンターとバーテンを設置しました。バーカウンターはもちろん薪積みを鉄のフレームで仕切ったもの。バーテンは野研メンバーのバーテン経験者(現職:鍛造作家)
調理とサーブはベロニカの会&野研

木立の風景のインスタレーション(野研・しまね自然の学校作、デザイン:土井周一)
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国立三瓶青年交流の家(島根県大田市)で、野遊びの達人養成講座(ファシリテーション養成講座)で展開された野外レストランの一コマ。講座の目的は、自然体験活動の指導者養成で、まず子ども達に自然の中で感じ取ってもらうものは何かを質的に理解してもらうために実施したものです。大人だと贅沢と感じてもらうために時にはこれだけの条件設定が必要ですが、トキメクものは子どもと同じです。木立に差し込む月の光、ランプに照らされた森、虫の音、みんなで談笑しながら頂く美味しい食事。こんなものが感じ取れる日常が子どもにあることが大切だと思いませんか。
 このあと、自然の中で子どもが行っている「冒険」について理解する目的でハードなシャワークライミングが待っているのですが(それはまた明日)

明日は、シャワークライミングや冬期の野外体験プログラム「スノーキャビン」についてお話しようと思います(予定)

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2007年07月05日

島根県飯南町 有田昭一郎 4日目

こんばんは。今日は少し私が事務局をしている野外体験産業研究会について紹介します。

略して「野研」
略して「野研」といってますが、「野犬?」といわれます。また、「おおげさだねー。」ともいわれます。多分、産業という文字がついているからでしょうけど、つけた意味がちょっと違います。これから述べるように野外での活動は「やる方」でも「サポートする方」でも発見が多いのです。だから常に、野外での活動から得られる体験を起点にしながら、いまのライフスタイルや暮らしている地域や社会や産業のあり様も考え直し、またあり方を具体的に提案もしていこうというのが野研のスタンスです。

しまね自然の学校
野研が深く関わっている団体に、しまね自然の学校という団体があります。野外活動を通した子どもの育ちのサポートを目的とし、月2回のペースでプログラムを実施していますが、この団体のスタンスは「見守る」です。毎夏、鷺浦という海辺での6泊7日のロングキャンプをしていますが、そのとき参加する子どもがしなくてはならないことは、自分でテントを張り、ご飯をつくることだけ、あとは自由です。その時間に子ども達は必ず海で泳いで遊ぶのか?否、全く海に入らないでひたすら海辺で拾った木片をナイフで削る子、砂浜の裏にある山の中に入っていく子など様々です。子どもは自由に自分のその時期の内的な欲求に従って行動しているのでしょう。そして、その内的な欲求に大人がどんなに考えても全部応えることのできる環境を整えることはできません。だから、大人にできるのは自然の中で遊ぶ子ども達のそれぞれの冒険を見守るだけ。かつては「見守り」は地域に普通にあったのですが、今の社会ではそれが必要かも、だけど最終的には、子どもの育ちのサポートをする存在が必要ない世の中になった方がいいのだろうなと考えながら、スタッフは活動しています。野研スタッフもこのプログラムに参加しています。

野研のテーマと提案する手段
しまね自然の学校との関わりを持ちながら、ここ1〜2年、野研のテーマは次第に固まってきました(なんていいかげんなんだろう)。「自然と関わり日々を暮らすことができる中山間地域こそ、子ども達(次世代)にとって豊かな環境である。彼らが自然と関わりながら育つことができる、暮らし、社会、産業のあり方を提案していく」というところです。
また、野研が提案する手段としているのは、体験を通した提案及び目に見える形での提案です。例えば、いくら中山間地域での暮らしは豊かだやら、身土不二・四里四方の考え方に基づき食と農のあり方を再構築する必要があるといっても、それを言葉だけで伝えるのには限界があると思います。(個人的には好きな言葉です)。だけど、美しい風景を眺めながら、すぐ目の前でとれた野菜を使った美味しい料理を一緒に楽しく食べる場面があれば、もっとよく伝わります。

ここで時間がきてしまいました。続きはまた明日。

野研開催のワークショップでつかうたき火小屋、食事など

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2007年07月04日

島根県飯南町 有田昭一郎3日目

今年から、私の職場で「自給・循環圏の構築」という新しい調査研究が始まりました。客観的にみても2020年頃までに食糧・エネルギー事情が大分悪くなるという前提の下、実際、自前の生産資源でどのくらい食糧・エネルギーは賄いうるのか、放置している農地の復元にはどのくらいマンパワー・コストがかかるかを測定し、具体的な自給圏像と推進手法(必ずしも生産・流通・購入のプロセスを前提としない)等を検討します。多分5年前なら、「こんなこと調査研究の対象にならない」と一蹴されていたでしょうが、こわい時代になりました。

いま改修している家は五右衛門風呂なのですが、暖房も薪ストーブを使うことを考えています。これだけ灯油の値段が高騰してくると、周りに雑木林が沢山ある中山間地域では、コスト的にも薪を燃料に使うのは魅力的です。もちろん、樹は自分で伐出しなくちゃならないし、薪割りもしなくちゃいけないので、人件費を考えると割高になるかもしれませんが、家の周りの林も手が入っていい塩梅になるし、運動だけすることができないズボラな私には調度いいやと思ってます。
 上の「自給・循環圏の構築」研究では、例えば、身近な樹を伐り・薪で暖房することが、一般的な都市的生活と比較して、コスト、物質循環、エネルギー効率、持続性等の点からどうか検証することになると思います。ただ、薪一つとっても、樹種・乾燥度合いで温度も火持ちも全く違うし、燃焼装置も性能がピンキリだから色んな前提が必要になるとおもいますが・・・

なぜ日本にオンドルがないのか
そういえば、知人達と薪を使った暖房について話していて、「なぜ日本には大陸のようなオンドルがないんだろう」という話になりました。オンドルはご存知の通り、床下に煙の通るトンネルをつくり煙の持つ熱で床を暖める仕組みになっています。煙のもつ熱を使い尽くす暖房は他の国にもあります。去年、事務局をしている野外体験産業研究会(また紹介します)のメンバーと北欧に研修旅行にいったのですが、その際、アパートに据えつけの薪をつかった暖房システムをみました。それは極太の土管が縦になっているような形で、下で火を焚くと、煙が土管のなかのパイプをぐるぐる回る仕組みです。少しでも煙の熱を利用しようとする意図がわかります。それに比べると日本の囲炉裏は熱効率はあまりよくなさそうです。私が知らないだけで日本にも煙の熱を暖房に使う技術があるかもしれませんが(教えてください)。

オンドル結論(仮説)
その話の中では次のように結論(仮説)となりました。
@大陸は日本ほど樹がふんだんになく貴重な資源である。よって限られた燃料で最大限熱を利用する技術が発達した(但しこれだと北欧の事例があてはまらない、気候が日本より寒く燃料が多量に必要であったため等は考えられるが)
A双方の国とも日本よりかなり寒い。だから少しでも熱を上手に使う技術が発達した
根拠不十分の推論なので、正解かどうか全く自信はありません。

アフリカに普及する日本のクド
ただ、生きる環境と熱を利用する技術の発達には少なくとも相関がありそうです。前に、新聞(どの新聞かすぐでてきませんが)に、いまアフリカのどこかの国で少しずつ日本のクド(石と土で組んだ料理用の炉)が普及してきているという記事が載っていました。遠方への薪とりがかなりの重労働らしいのですが、たき火と比べるとずっと熱効率が高く身近な素材でつくれるクドが導入され、必要な薪量を随分減らすことができ、労働負荷軽減にかなり貢献しているということです。アフリカの人口爆発は植民地時代以降のことで、もともと低い人口密度が低かった(1人当たりの資源量が多かった)アフリカ当該地では、たき火で十分で、日本のクドのような技術が生まれる必要がなかったのかもしれません。大陸や北欧と比較すると煙熱の利用が未発達な日本も、植民地時代前のアフリカと比較すると、燃料を効率的に利用する必要性があったとも考えられます。

以上、かなりあやふやな仮説が多いですが、これから本格的に情報を集めてみようと思っています。北欧のストーブの発達史は面白いですよ。囲炉裏→暖炉→ストーブ→キッチンストーブと進化していきます。また機会があれば書きます。
夏なのに暖房の話になり失礼しました。ではまた明日。
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2007年07月03日

島根県飯南町 有田昭一郎 2日目

5月から毎朝5時半に起きて7時まで家の修理をしています。今朝も早起きしました。
飯南町に住み始めて5年目、これまでアパートに住んでいましたが、3年目当たりからもう少し山奥に住んでみたいなと思い、色々当たっていましたが、ある日うちのかみさんが「面白い家があるよ」と言ってきました。たまたま見つけたようですが、どれどれと家族5人で見に行きました。

家を見て子ども達の第一声「千と千尋のところみたい」。となりのトトロのさつきとメイの家ならいいのですが、神隠しにあうのかよ、という感じです。基本的には趣のある家なのですが、屋根は一昨年の大雪で折れ、周りは草ぼうぼう、かつての畑は潰れたビニールハウスがススキと笹の原に埋もれています。う〜ん。

結局、要検討とし、他の家も当たってみようと伝手で町内に顔が広いおじさん(顔役さん)に頼んでいたのですが、そしたら紹介されたのがまたその家です。こんなこともあるのだなーと思って、一応中を見せてもらうことにしました。すると家の中は、最後の住人であるおじいさんが亡くなった時点から時が止まっていました。イスに掛けられたままのズボン、戸が開けられたままの水屋など、こうして家は突然空き屋になるのだなと思いました。

地元の顔役さん
 色々検討したのですが、結局、家を借りることにしました。自由に内装できること、周囲の田畑・雑木林を生活の範囲で使用できること、そして家を紹介して下さった顔役さんが同じ集落に住んでいることが大きな理由です。この方は山屋さん(木の伐出業)で、あちこちの山から木を伐り出されるので広く顔が繋がり、色々な情報を持ってられます。例えば、まだ使える耕耘機があるんだけど売りたい、家が空くので貸したい、ミツバチの箱を置かせてくれる所を探している、家のここの部分が壊れて困っているんだけどなど。本業は山屋さんなので、伐り出した丸太で板・柱を挽き、同じ集落の方と大工作業までされています。また商売されている方なので町外の方とも交流機会が多く、よい意味でなんの勝手も知らない私のようなよそ者の扱い方をよく知っておられます。
 最近、空き屋バンク制度があちこちで立ち上げられていますが、結局、システムとしてうまく機能するか否かはこのような地元の顔役さんとうまく関係できているかどうかなのでしょうね。

畑の復元
というわけで、まず5瀬ほどある畑の復元から始めました。ビニールハウスの周りの草を刈り、ハウスを解体します。そのあと笹を草刈り機でザックザックと刈り、長年積み重なった枯れ草と一緒に焼いていきます。開けた所でトラクターを入れてもらい根を切り、土を起こします。掘り起こされた根を集めてさらに焼きます。ほぼ2週間の作業でした。
こんな感じです↓
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家の修理は家具の移動から
 それでいま家の修理をしています。目指すは、外見はトタン葺き納屋、内装はアルバ・アアルト邸、グンター・アスプルンド建築なのですがその道のりは長い。
 家の修理に至るまで大きく2つの山がありました。1つ目の山は家具・調度の移動。大抵の空き家はそうだと思うのですが、家財道具は使った当時そのままで家の中に展開されています。結構、農家の方は物持ちでこれが大変! うちは片づけ始めてこりゃ大変だと思っていたら、大家さんが途中からやってくれたので大助かりでした。2つ目の山は畳の下の床です。借りた家は築40年で、栗材が使ってあり、壁も荒壁なので、構造はしっかりしていますが、土地が元田んぼでかなり湿気があがってきます。人が住んでいる間は窓を開けるので湿気が抜けるのですが、住まなくなると途端に湿気がこもります。それでこの家も畳の下の床(底板といいます)が半分以上腐っていました。
 こりゃいかんとばりばり底板をはいでいたら、えーい他の部分もと荒壁の上に張ってあったベニヤや石膏ボードの天井も落としてしまいました。壊すのは簡単で友人4人とやったら1日で終わり、家は柱だけになりすごくすっきりしたのですが、来る知り合いに「壊してんの?」と聞かれました
 床を剥いだら、ます床下に防湿シートを敷き重しの砂を引きますそこから毎朝、新たに床や壁や天井を貼るための下地づくりをし、もう少しで終わるかな?ということころです。
こんな感じです↓
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 実はもう一つ隠れた山があります。家の周辺の整理です。周囲の林の中に入ると結構使われなくなったテレビや瓦、家具などがそのままほかされていたりします。いずれ片づけようと思っています。それにしても最初は自分の敷地内とはいえ結構こういうことはおおらかだなと思っておりました。それで、知り合いともこの話しをしていたら、それは一概に捨てた者の責任とばかりはいえないという意見がでました。高度経済成長期に入る前も同じくほかす習慣はあったのだと。だけどその時は材料は木や藁や泥で屋外に置いておけば土にもどったのだと。だけど生活品は急速に樹脂やプラスチックに置き換えられていったのだと。そうかもしれません。長い間かけて自然との間に作られた生活習慣や行動習慣を急に切り替えるのは難しいですもんね。

昔の大工さんはすごい
下地づくりとは、床を水平に、壁を垂直に貼りつけるためのフレームを作っていく作業ですが、これが苦労しました。なんせ家に使われている柱で一つもまっすぐな柱がないのです。うねった柱をうまく組んで全体としては安定した構造体にしているのです。水平器もない時代どうやったのだろう?また、庄屋屋敷ではなく普通の田舎屋だったら普通のことなんでしょうが、ユーズド柱が結構利用されています。きっと他の家が何らかの事情で解体された場合など機会ごとに柱を集めているのでしょう。

とそんなことを考えながらトンテンカントンテンカンやっております。家の前の畑のキュウリやトマトがなりはじめました。それではまた明日。
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2007年07月02日

島根県飯石郡飯南町 有田昭一郎1日目

はじめまして。島根県飯南町に住んでいます有田昭一郎と申します。ご縁ありまして、今日から「今週の私」を1週間担当させていただくことになります。よろしくお願いします。

それでは、まず簡単に自己紹介をば。
昭和44年2月 熊本県熊本市生まれ、山口県山口市、大阪市を経て、島根県飯南町に住んでおります。飯南町は広島県との県境、中国山地のいちばん上の方にある人口6,000人の町で、標高が500m近くあるので、夏は涼しく、冬は雪が50cm以上積もります。この町で、かみさん、子ども3人(長男6歳、次男4歳、長女1歳)の5人で暮らしています。職場は、家から車で5分の島根県中山間地域研究センター、好きなことは家の修理・畑の開墾・料理かな? 野外体験産業研究会という任意団体の事務局もしております。

職場:島根県中山間地域研究センター
島根県に住んでいる理由も、「今週の私」を書いているのも、いまの仕事が結んだ縁ですので、まず職場をご紹介したいと思います。
島根県中山間地域研究センターは、中山間地域の振興を目的とした島根県の試験研究機関で、農業、鳥獣対策、林業、地域研究の4つのセクションで現在70名近くのスタッフがいます。簡単に説明しますと、農業は有機農法・エコ農法(水稲、大豆、野菜等)、林間放牧、キノコ、薬用植物、雑木林・竹等の資源化、鳥獣対策はイノシシ・クマ・サル等の対策、林業は育林・育林・病理・加工・流通等、地域研究は地域経営・土地利用・地域交通・資源を利用した産業振興です。

私は地域研究グループ(5名)に所属しており、直売・加工・飲食・道の駅・宿泊・体験交流等の分野での立ち上げや経営改善等をお手伝いしていますが、地域研究グループは島根県に加え中国地方中山間地域振興に関わる調査も担っており、近年は特に地域経営・産業振興、そして次に述べる土地利用等の案件にも関わっています。

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今日の仕事 『中山間地域の農林地・家屋等の所有と利用について』
 今日は朝から、広島市への会合で出張でした。会合のテーマは農林地・家屋等の所有と利用。昨年度当たりから地域研究グループで島根県西部の山村に調査に入ってますが、これから大変だぞと思う問題の一つは、農林地・家屋の利用の空洞化です。特に厳しいのは山林で、所有者の5割以上は近隣におらず、地籍は曖昧なまま、さらに境界線を知っている人は集落でも80歳以上のおじいさん1〜2人。あと10年してこの人達がいなくなれば、所有者でも自分の山の境界を知っている人はほとんどいなくなり、利用できない“塩漬け”状態の山林が多くでてくる可能性があります。農地、家屋等も確実に跡を追っています。みなさんの地域はどうでしょうか? 中国地方では近年、所有権と利用権を分け、利用したい方が利用しやすくできないかと制度的課題や方法についての検討が本格的に始まりました。よく“地域資源の活用”と言われますが、そのためには“資源を資源として利用できるような状態”にするところから始めないといけなくなりつつあります。もう少し早く手を打てて居ればと思うのですが、実態的に、次世代に資源を使える状態で残すことすらままならなくなりつつあり、急を要する作業です。この1〜2年はこの作業が仕事の中心点の一つとなりそうです。他の仕事のことも機会があれば書いていきます。

夕方、広島市から飯南町に帰ってきました。山と田んぼと畑と家からなる風景をみるとほっとします。しっかりと農林業が営まれている農山村は美しいです。人が暮らすにも、子どもが育つのにも贅沢な環境だと思います。上の男の子2人は、休みの日は1日中、近くの田んぼや農業用水路で魚とりやカエルとりしています。実はその田んぼが職場の無農薬実験圃場でカエルが特に沢山いるものだから田んぼにつっこんだりしており、担当の同僚から「害ガキ」と呼ばれています。でも泥だらけで帰ってくる子ども達をみるとなぜかほっとします。かみさんは悲鳴をあげておりますが・・・

では今日はこの辺で。明日はいま改修している自分の家や開墾(復元)した小さな畑のことを紹介しようと思います(予定)。

島根県中山間地域研究センターのHP

現在、里山プランナー(客員研究員)募集しております。ご興味ある方はこちらを閲覧下さい。

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